65歳以上の約10人に1人が悩んでいるといわれる手のふるえ……「歳のせいだから」などと放置してしまいがちですが、進行すると日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。そのようななか、手のふるえを治療する「低侵襲手術(患者への身体的ダメージが少なくてすむ手術)」について、森山脳神経センター病院FUSセンター技師長の堀大樹先生が解説します。
FUSは「治療直後」からふるえが改善
読者の皆さんが1番気になるのは、どのくらいふるえが改善されるのかだと思います。[図表3]をご覧下さい。左が治療前、右が治療後を示しています。
この患者さんは30年ほど前から両手のふるえが始まり、次第に字を書く、食事をする、飲み物を飲むなど、普段の生活が困難になっていきました。そこで、我々がFUSを用いて利き手である右手を治療しました。
Aさんが左の治療前に描いた渦巻きと直線は、手がふるえて塗り絵のようになってしまっています。それに対し、右の治療後に描いた渦巻きと直線は、明らかに右手のふるえが改善されているのがわかります。Aさんは、FUS治療の直後から綺麗に描くことができるようになりました。
ただしFUS治療ができないケースも
このように大きなメリットがあるFUSですが、デメリットも存在します。それは、治療ができない場合もあるということです。
FUSでは集束超音波を頭蓋外から照射しているため、超音波ビームのエネルギーは頭蓋骨によって減衰してしまいます。
人体の頭蓋骨は非常に硬い緻密骨と、軟らかい海面骨の層状になっており、集束超音波は海面骨で特に大きく減衰してしまうため、できるだけ頭蓋骨が薄く、海面骨が少ないほうがFUSによる治療効果が得られやすいです。
これは初回診察時に頭部のCT検査を行い解析することで、FUS治療が可能か、不可能かが判断できます。
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FUSセンター
技師長
【最終学歴】
2019年 東京女子医科大学大学院 先端生命工学外科 卒業
医学博士取得
【職歴】
2004年 昭和大学病院 診療放射線科 入職
2012年 新百合ヶ丘総合病院 診療放射線科 入職
2021年 森山脳神経センター病院 入職
【資格】
2004年 診療放射線技師免許 取得
2006年 第一種放射線取扱主任者 合格
2012年 磁気共鳴専門技術者認定 取得
2017年 上級磁気共鳴専門技術者認定 昇級
【加盟学会】
日本放射線技術学会
日本放射線技師会
磁気共鳴医学会
北米放射線学会(Radiological Society of North America; RSNA)
国際磁気共鳴医学会(International Society for Magnetic Resonance in Medicine; ISMRM)
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