消費者として「これは売れる!」と高評価できる商品を見つけたときに、それを提供する企業の株を買うべきなのでしょうか。早いうちに買うことができれば大きな利益を得られるチャンスにも思えますが、そのような投資方法で儲けることは簡単ではないと、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。それはなぜなのか、詳しくみていきましょう。
「大ヒット商品を生んだ企業の株」が儲からないワケ【投資のプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

売上、利益、会社への貢献度などの数字を確認する

実際に大ヒットする商品であっても、そこにいたるまでにはさまざまな段階があります。

 

1.発売直後で誰にも知られていない段階

2.発売して一定の時間が経ち、一部の人には知られている段階

3.大勢の人に知られているけど、それほど売れてはいない段階

4.大ヒットする段階

 

大雑把に分けると、以上のように分けられるのではないでしょうか。なお、その会社の宣伝戦略により2を経ずに3や4にいたる場合もあるでしょうし、逆に口コミなどで2から4へいたる場合もあると思います。あくまで大雑把な段階分けだとご理解ください。

 

さて、そういう会社の株を買うことを検討する際に注意したいのは、「数字」です。 1の場合はまだデータが集まっていないでしょうが、2以降の段階では、決算や報道などから、ある程度の数字を把握することができそうです。

 

そしてその際には、それをよく読み解く必要があります。 実は以下のような理由で、たとえ大ヒットしそうな商品を見つけても、結果的にその会社はたいして儲からない、ということがあるからです。

 

◆話題になっているだけでたいした売上になっていない

◆たくさんの経費をかけて売上を伸ばしているだけで、たいした利益になっていない

◆大ヒットしてそれ相応の利益を上げたとしても、その商品の市場が小さいため、その会社全体の利益に対して大きく貢献していない

 

これらを見極めるために、可能な限り数字を確認することが重要なのです。

株価が割高すぎていないかも確認しよう

それから投資をする際には、「株価」も重要な要素になります。一般消費者向けの商品を提供している会社は比較的、株価が割高になる傾向があります。大勢の人に馴染みのある商品を提供しているため、認知度が高くなるからでしょう。

 

また、その商品を好きになり、その会社の株を買う人もいるのでしょう。しかしそのために、消費者として「これは売れる!」と高評価できる商品を見つけて、それを提供する会社の株を買おうとしても、すでに割高すぎて買わないほうがよい場合もあるのです。

 

まだその商品がほとんど知られていない段階でしたらチャンスはあるかもしれません。しかし、すでに話題になっていたり、実際に大ヒットしている段階では、異常に割高になる場合もあります。株価の価値が理論的な適正価格から10倍以上になる場合だってあるのです。

 

そんなときに株を買ってしまうと、ある日を境にその熱狂が終わり、株価が急落して大きな損失を被る場合もあります。ですから投資をする際には、やはり株価も重要な要素になるのです。