業績が安定している会社の株を安いときに買うことができれば多大なメリットがあります。しかし、投資初心者にとっては「エントリーポイント」の見極めがなかなか難しく、不確実な情報に惑わされてしまいがちです。そこで、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、安定した会社を見極める「3つの指標」を解説します。
株式投資で「負けない銘柄」はどこを見ればわかる?…見極めるための「3つの指標」【投資のプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

企業の安定性を見極める指標①「有価証券報告書」

まず気をつけていただきたいことがあります。投資しようとしている会社の業績が安定しているかどうかを判断するためには、できるだけ長期にさかのぼって確認していくことが重要です。

 

雑誌やインターネット上では、企業業績を紹介する際に、ここ2~3年の数字を持ち出している記事が珍しくありませんが、その程度の期間でその会社の安定性を評価するのは危険です。より長い期間の数字を確認しなければ、安定性は評価できません。

 

そこでおすすめしたいのは、「有価証券報告書」です。有価証券報告書の冒頭には「主要な経営指標等の推移」という項目があり、直近5年分の主要な数字を確認することができます。

 

また、金融庁が運営する「EDINET(有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)」上では現時点で、最新分から4年前までの有価証券報告書を確認することができます。
※ https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/

 

したがって、EDINETを利用して、最新のものとその4年前の有価証券報告書(このなかのを確認すれば、直近9年分の主要な数字を確認できるわけです。

 

なお、各企業のウェブサイトにそれ以前の決算記録が残っている場合もありますし、有価証券報告書もダウンロードして保管し続ければ、より長期の記録を確認していくことが可能です。

 

しかしEDINETを利用することで確実に直近9年分の数字を確認できますので、まずは「9年分」を最低ラインに確認するといいでしょう。

企業の安定性を見極める指標②「利益と営業キャッシュフロー」

その会社が安定しているかは、「毎年確実に利益を出しているかどうか」で判断できます。

 

9年程度さかのぼれば、そのあいだに何度か赤字になっている会社は少なくないでしょう。景気の循環や不祥事・トラブル、災害などが原因で、赤字を計上してしまう会社は珍しくありません。

 

しかし「本当に安定している会社」は、それらの“異常事態”を乗り越えながら、毎年確実に黒字を計上し続けています。ビジネスモデルや異常事態への備えが優れているのでしょう。

 

企業の利益には、いくつかの種類があります。売上から原価と必要経費を引いた「営業利益」、営業利益に受取利息や支払利息などを加減した「経常利益」、税金を支払った後の「当期純利益」、当期純利益に保有資産の含み益や含み損を加減した「包括利益」などです。そして、これらのどの利益も黒字であり続けることがやはり望ましいものです。

 

また、会計上の利益は必ずしも、現金流入に一致するものではありません。そのため、「実は現金が流出しているのに、利益が計上されている」といったケースも存在します。

 

そこで、利益が毎年プラスであるとともに、「営業キャッシュフロー」がプラスであることも確認しておくのをおすすめします。

 

毎年各種利益がプラスで、かつ営業キャッシュフローもプラスならば、その会社は「本当に安定して稼いでいる会社」だということができます。