給与を人と比べるものではないと言われても、やっぱり自分はどの程度の位置にいるのか気になるもの。そしてできれば「勝ち組」と呼ばれる水準の給与を手にしたいと考えるものです。会社員の給与の「勝ち組」「負け組」、その線引きはどこでされるものなのか、考えてみましょう。
会社員の平均年収「勝ち組」「負け組」の境界線…30歳のサラリーマン、年収1,000万円を超えても (※写真はイメージです/PIXTA)

サラリーマンの上位10%の「勝ち組」、下位10%の「負け組」…その年収は?

中央値より上が「勝ち組」で、下が「負け組」……これではあまりに乱暴なので、上位・下位10%として日本のサラリーマンの給与をみていきましょう。

 

日本のサラリーマン、上位10%の年収は814.3万円。一方、下位10%の年収は310.5万円。上位10%で年収800万円超えですから、「頑張ればいけるかも……」そう思った人も少なくないでしょう。

 

さらに年齢別にみていきます。たとえば働き盛り40代前半の下位10%の年収は354万円、上位10%の年収は798万円。定年間近の50代後半になると、下位10%で358万円、上位10%で1,020万円と大台を突破します。

 

【年齢別・日本のサラリーマンの年収、下位10%/上位10%】

全世代:310万5,299円/814万3,256円

20~24歳:2,476,656円/3,685,500円

25~29歳:2,918,910円/4,826,110円

30~34歳:3,161,805円/5,925,165円

35~39歳:3,360,252円/7,063,854円

40~44歳:3,541,203円/7,987,227円

45~49歳:3,622,600円/8,798,620円

50~54歳:3,713,652円/9,989,244円

55~59歳:3,589,018円/10,200,773円

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出

※数値左:下位10%、数値右:上位10%

 

このように年収分布をみていくと、冒頭、40代で年収300万円で「負け組」と卑下しても「確かに」と言わざるを得なく、30代で年収1,000万円超だと、堂々と「勝ち組」と宣言しても「そうですね」と納得するしかありません。

 

そんな勝ち組の30歳のサラリーマンですが「高収入でも実感がない」というのは、どういうことなのでしょうか。これは「実際はそれほどもらっていない」ということだと考えられます。

 

日本の所得税の税率は、5%から45%に区分され、高所得ほど税率は高くなります。年収4,000万円以上だと45%と、およそ半分を所得税で引かれます。さらに社会保険料、雇用保険料、住民税と天引きされていくと、年収1,000万円の場合、手取りだと単純計算720万円ほど。あれよこれよと、30%ほど引かれるわけです。

 

さらに私生活では高収入だと、住居費や教育費なども一般よりもクラスが高く、結局、高収入の割に生活に余裕がない……という、よく聞くパターンになるわけです。

 

ネットでよくみる「勝ち組」「負け組」のつぶやき。そのなかに「結局、サラリーマンは全員負け組」というものも。確かに、毎日、必死すぎるほど働いている日本のサラリーマンは、どんなに高収入であっても「負け組」にみえるかもしれません。