毎年、誕生月に手元に届く「ねんきん定期便」。50歳を超えると、年金見込み額が記されるようになり、より具体的な老後プランを考えられるようになるでしょう。しかし複雑怪奇な年金制度、そこには頭をかしげるような言葉も。みていきましょう。
手取り32万円の50歳・会社員「ねんきん定期便」で年金月16万円(予定)と知ったが…ふと疑問「経過的加算」とは (※写真はイメージです/PIXTA)

平均的な給与の50歳のサラリーマン…65歳からもらえる年金額は?

老後生活のベースとなる公的年金。会社員であれば、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)を手にできますが、国民年金の年間受給額は「年金額×保険料の納付月数÷480ヵ月」、厚生年金の年間受給額は「①平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数」と「②平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数」を足すことで算出できます。

 

ただ漏れなく保険料を支払っていると自信をもっていえる人は意外に少なく、また、いまの給与は言えても、会社員人生を通しての給与の平均値による平均標準報酬額を言える人は少ないでしょう。

 

そこで頼りになるのが「ねんきん定期便」。毎年誕生月に届く「自身の年金記録を記載したハガキ(または封書)」で、50歳未満は「これまでの加入実績に応じた年金額」、50歳以上は「年金見込額」が記されています。また35歳、45歳、59歳の節目の年には、封書で「全期間の年金記録情報」も記載されているので、これで年金保険料の払い忘れなどをチェックすることができます。

 

公的年金は老後生活の基盤となるもの。ねんきん定期便が届いても「毎年、なんか送られてくるなあ」とろくに見ずにどこかにやってしまっている人も多いでしょう。1年に1度くらいは、しっかりと老後を見据える時間をつくってもいいかもしれません。

 

たとえば、平均的な50歳のサラリーマン。23歳で会社員となり、これまできちんと年金保険料を払ってきた……としましょう。現時点での給与(所定内給与額)は42.2万円、手取りは32万円ほど。年収は推定692万円。このまま60歳定年まで平均的な給与をもらい続けると仮定すると、平均標準報酬月額は47万円となり、単純計算、厚生年金部分は10.3万円となります。国民年金も満額支給であれば、65歳からもらえる年金額は総額16万円強となる計算です*。そんな将来もらえるだろう年金額が「ねんきん定期便」に記されています。

*便宜上、上記②のみで算出