若年性認知症…全国で3.57万人
高齢化の進展とともに増えている認知症。日本では65歳以上の認知症患者は約600万人と推計され、2025年には700万人と、高齢者の5人に1人を占めるようになるといわれています。
認知症の症状は、記憶障害や見当識障害、理解力・判断力の低下などの中核症状と、行動・心理症状に大別でき、中核症状としては以下のようなものがあげられます。
◆もの忘れ(記憶障害)
・数分前、数時間前の出来事をすぐ忘れる
・同じことを何度も言う・聞く
・しまい忘れや置き忘れが増えて、いつも探し物をしている
・約束を忘れる
・昔から知っている物や人の名前が出てこない
・同じものを何個も買ってくる
◆時間・場所がわからなくなる
・日付や曜日がわからなくなる
・慣れた道で迷うことがある
・出来事の前後関係がわからなくなる
◆理解力・判断力が低下する
・手続きや貯金の出し入れができなくなる
・状況や説明が理解できなくなる、テレビ番組の内容が理解できなくなる
・運転などのミスが多くなる
◆仕事や家事・趣味、身の回りのことができなくなる
・仕事や家事・趣味の段取りが悪くなる、時間がかかるようになる
・調理の味付けを間違える、掃除や洗濯がきちんとできなくなる
・身だしなみを構わなくなる、季節に合った服装を選ぶことができなくなる
・食べこぼしが増える
・洗面や入浴の仕方がわからなくなる
・失禁が増える
出所:厚生労働省『みんなのメンタルヘルス』より
あれ自分も当てはまるものが……そんな65歳未満の人もいるかもしれません。65歳未満で認知症を発症した場合は、若年性認知症といわれ、3.57万人いるとされています。東京都で行った『若年性認知症の 生活実態に関する調査』で人口10万人あたりの若年性認知症の患者数は50代を境に急に増え、60代になると、また大きく増えます。
【人口 10 万人対の若年性認知症の患者数】
20~24歳:0.84人
25~29歳:1.37人
30~34歳:0.68人
35~39歳:4.10人
40~44歳:5.80人
45~49歳:7.72人
50~54歳:23.51人
55~59歳:37.85人
60~64歳:151.83人
東京都で行った『若年性認知症の 生活実態に関する調査』
もし現役の働き盛りで認知症と診断されたら……想像してみましょう。東京都で行った『若年性認知症の 生活実態に関する調査』によると若年性認知症と診断された人のうち、発症前と同じ職場で働いている人は1人もおらず、7割近くが「退職(解雇含む)」の道を歩んでいます。これはあくまでも調査における回答者の割合なので実態とはズレがあるかもしれません。ただ認知症の症状が出ていながら、これまで通りの仕事を続けることがいかに困難かは、この結果からも明らかです。