考えられる見直しの方向性は?懸念される点は?
以上が、タワマン節税が問題視されている点です。ただし、「問題点2. 富裕層が相続税対策のためだけに利用するケースがある」ということについては、今後もケースバイケースで判断されることにならざるをえないと考えられます。
なぜなら、上述のように、不動産の相続税評価額を軽減する法の趣旨と相続税対策とは必ずしも矛盾するものではないからです。
すなわち、相続人の負担が過大にならないために法制度を利用して「相続税対策」を行うことは、法の趣旨に合致したごく正当な行為です。したがって、その域を逸脱してしまったものについてだけ、個別具体的に否認するという対応にならざるをえません。
より重大なのは「問題点1. 税負担に不公平がある」のほうです。すなわち、タワマンの高層階の相続税評価額が市場価格より著しく低くなっているということです。この点が、タワマンの高層階以外の不動産との公平を害するということです。
なお、今回はタワマン節税が俎上に載せられていますが、相続税評価額と市場価格に差があることに着目した「節税商品」「節税スキーム」は他にもあります。タワマン節税を皮切りとしてそういった商品・スキーム全般についてメスが入る可能性が考えられます。
建物の高層階と低層階の評価方法だけでなく、底地の面積を住戸の床面積に応じて割り振るという土地の評価方法についても、見直しの対象とされる可能性が大いにあります。
「課税の公平」という視点はきわめて重要です。しかし、見直しの過程において、相続人の過大な負担を避けるという意味での正当な相続税対策までもが制約されてしまうことになれば、それは「富裕層いじめ」となってしまいます。そのような事態にならないよう、私たち納税者・国民は、国税庁、ひいては政府・国会を厳しく監視していく必要があります。
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