日本国内に住んでいる20歳~60歳未満、会社員や公務員でなければ、国民年金保険料の納付が義務。しかし理由はさまざまですが、納付義務のある人の2割強は未納状態にあるといいます。納付能力があるにも関わらず、滞納が続くと、とんでもない事態に。みていきましょう。
国民年金の「差押予告通知書」が届いたが…年収380万円のフリーランスが直面する、恐ろしい「強制徴収」の実情 (※写真はイメージです/PIXTA)

国民年金保険料の強制徴収…控除後所得300万円以上を対象としているが

国民年金保険料の納期限までに保険料を納付しないと「「催告状→特別催告状→最終催告状→督促状」と書面が送られ、督促状で指定されている期限を過ぎると、延滞金が発生します。その利率は期間が近年であれば8%程度ですが、期間が10年以上も前になると14%超にもなります。

 

督促を受けてもなお納付を拒んでいると、財産を調査され、「差押予告通知書」が手元に届きます。差押えの対象となる主な財産は、「給与のうちの一定額(原則、滞納解消まで差押えが継続)」「預貯金」「自宅などの不動産」「自家用車」など。さらに国民年金法88条2項、3項では、滞納している本人だけでなく、配偶者や世帯主の財産が差押えの対象となるおそれもあるとしています。

 

日本年金機構の2022年度計画では、「強制徴収の着実な実施」として、以下のとおり記しています。

 

控除後所得が 300 万円以上かつ7月以上保険料を滞納している場合は、 全員を強制徴収対象者と位置付けた上で、納付の状況などを踏まえつつ、 最終催告状を確実に送付し、督促しても自主的に納付しない方について、 滞納処分を行う。

出所:日本年金機構『令和4年度計画』より

 

控除後所得300万円以上ということは、年収380万~390万円以上で7ヵ月以上の滞納があれば、「最終催告状」を送付し、それでも納付がなければ、最終的に差押えを行うということです。

 

では年収300万円程度であれば安心かといえばそうではありません。

 

保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促することができる。

4 厚生労働大臣は、第一項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、国税滞納処分の例によつてこれを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる。

出所:国民年金法96条1項及び4項

 

法律上、処分の対象となる人に年収の基準はなく、あくまでも日本年金機構が強制徴収を行う基準として記しているもの。基準以下の年収だからといって、絶対差し押さえの可能性がないとはいいきれません。またいまから8年ほど前の年度計画には、「控除後所得400万円以上+13ヶ月以上滞納」と記されており、今後、さらに基準が下がる可能性もあります。

 

月々1.6万円ほどといっても、保険料の支払いが本当にできない、というケースもあるでしょう。免除や猶予の制度はあり、滞納分については分割払いを認められる場合も。無断で滞納することが、最悪の結果を招くので、本当に納付が苦しい場合は、まずは年金事務所などの窓口で相談することが鉄則です。