「洋菓子店を引き継いだ場合」の適用要件とは?
相続後の二世帯住宅の活用方法として、たとえば配偶者が親世帯のいたスペースを活用して喫茶店や雑貨店などのお店を開きたいなどという希望をもつことがあるかもしれません。
そのような場合にも、営んでいた店が「特定事業」の要件を満たしていれば、相続の際に「特定事業用宅地」として、小規模宅地等の特例を適用できます。「特定事業」とは、個人が営む一般的な事業(不動産貸付業を除く)のことであり、特定事業用として所有する店舗の敷地が「特定事業用宅地」となります。
たとえば洋菓子店を経営していた母親から、長女がお店の経営を受け継ぎ、その店舗、敷地ともに相続した場合などがこれに該当します。適用上限面積は400平方メートルで、減額割合は80%になります。
前回の貸付事業用宅地の場合と同様に、以下の①から④の要件を満たすことが必要となります。
① 被相続人から親族が事業承継する
② 宅地等を事業承継した親族が取得する
③ 相続開始時から申告期限までの間その事業を続けている
④ 相続開始時から申告期限までの間その宅地等を保有している
特例が適用される「特定同族会社事業用宅地」の概要
なお、以上で紹介した貸付事業用宅地と特定事業用宅地のほかに、小規模宅地等の特例が適用される場合としては、「特定同族会社事業用宅地」もあげられます。
被相続人等が所有していた宅地で会社を経営していた場合(不動産貸付業を除く)の特例であり、具体的には被相続人やその親族等が有する株式数や出資額が50%を超える法人の事業の用に供されていた宅地等に適用されます。
わかりやすいように具体例で示すと、以下のようなケースで適用されることになります。
「被相続人である父親は、自身の所有していた宅地で自動車修理工場の会社を経営していた。この会社の株式は、被相続人と親族で100%保有されていた。この工場の敷地を父親の後を継いで数年前に同社の社長に就任していた次男が相続をした。そして次男は申告期限まで社長であり、事業を継続し、その敷地を保有していた」
適用上限面積は400平方メートル、減額割合は80%になります。親が株式会社を経営していた場合には、この特定同族会社事業用宅地の制度が使えないかどうかを検討してみるとよいでしょう。