「後悔はありません」20代正社員、退職して非正規へ
「もっと自分に合った環境があると思いまして」
横浜市在住の26歳男性は、電話口でそのように語りはじめました。新卒で入社した大手企業を3年で退職し、いまは非正規の立場で、まったくフィールドの異なる業種で生き生きと働いているそうです。
「この時代にパワハラじみた環境で…。目標の数字を出せないと、上長から打ち合わせ室に呼ばれ、仕事のやり方や進め方についてこと細かく尋問されるんです。これがものすごいストレスでした。そのせいで、一時は朝起きるのもつらかったのですが、ふと〈なんでこんなに我慢する必要があるのか、辞めれば解決じゃないか〉とひらめいたんです。その日のうちに退職を申し出ました」
入社後数年は耐えるべき…というのが昭和から平成の価値観だとすれば、令和のいまはフレキシブルに対応し、心身の健康を害することがあっては大変、納得できなければすぐにその場を離れ、もっと自分に適した場所へ…というのがトレンドなのかもしれません。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマンの給与は20代前半・正社員で月25万5,100円、手取りにすると20万円程度。一方、20代前半・非正規では21万1,100円、手取りにすると16万円程度になります。給与では月に4万円ほどの差ですが、年収になると、正社員で341万5,500円、非正規で259万0,500円と、やはり賞与が多い分、正社員と非正規社員で100万円ほどの差が生じます。
ある程度の給与をもらい、歯を食いしばって正社員でいるか、給与に妥協しても、ストレスの少ない非正規か。100万円程度の違いなら「ストレスのないほう」を選ぶケースも多いかもしれません。
正規と非正規「この先の給与面の差」は?
では、正社員と非正規について、この先の給与面の差を比較してみましょう。
正社員なら、30代後半で月収は40万円、50代には月50万円を突破。ピーク時の年収も800万円に届き、定年退職時には平均して2,000万円の退職金を得ることになります。
正社員の給与は、スタートとピークで2~2.5倍程度に増加しますが、非正規社員の給与の上がり方は異なり、ピークこそ同じ50代前半ですが、月収はわずか27万3,500円、年収では344万6,700円。給与は1.3倍の増加にとどまります。
60歳までのトータルで比較すると、正社員の場合は2億4,615万円ですが、大学卒業後、3年以降を非正規社員で過ごすと1億2,308万円と、2倍の差です。差額となる1億円が「非正規という快適さ」の対価ともいえそうですが、これをどうとらえるかは人それぞれでしょう。
高齢になれば、医療費もかさむが…
もうひとつ「高齢になっても定収入のまま」という点についても、よく考える必要がありそうです。
定年退職後は公的年金が生活原資となるわけですが、実際に手にする年金額は下記のようになっています。
【国民年金】
年金額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)
【厚生年金】
■加入期間が2003年3月まで
平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数
■加入期間2003年4月以降
平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数
生涯、正社員だと、厚生年金部分が「53万×5.481/1000×456」でおおよそ月11万円となり、国民年金が満額なら、月17万4,000円ほどを受給できます。
一方、途中で非正規社員の場合は「26万×5.481/1000×456」で、厚生年金部分は月5.4万円ほど。国民年金が満額もらえたとして、月々12万円を下回ります。
高齢になってから、月に5万〜6万円ほどの収入差となり、それが生涯にわたって継続します。年齢が高くなれば医療機関にかかる機会も増え、いずれは介護が必要になるかもしれません。収入が低ければマイホームを保有できず賃貸生活の可能性が高くなりますが、高齢になるとアパートを借りるのも審査が厳しく、楽ではありません。
お金がすべてというわけではありませんが、若い時代の「悠々自適」が、生涯にもたらす影響の大きさについて、まずは考えてみることが大切だといえそうです。
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