人生折り返し時点で、3割の男性が未婚。その割合はさらに増えていくといわれているなか、独身者の老後はどうなるのか……気になるところです。みていきましょう。
平均手取り28万円…40代・家なし独身男子、20年後に直面する「驚愕の事態」 (※写真はイメージです/PIXTA)

40代のおひとり様の9割…老後が不安です

お金の「プラス」の面をみてきたので「マイナス」の部分もみていきましょう。独身者で「借入金」があるのは、16.4%。30~50代で2割を超えています。「借入金あり」という人の平均額は637万円、中央値で100万円。

 

【独身者「借入金ありの割合」と借入金額】

20代:16.0%(288万円/100万円)

30代:23.2%(1,386万円/114万円)

40代:23.7%(553万円/110万円)

50代:20.2%(645万円/125万円)

60代:14.6%(287万円/100万円)

70代:5.1%(494万円/38万円)

 

※数値左より「借入金有」の割合(借入金の平均額/借入金の中央値)

 

さらに「借入金あり」の人のうち「住宅ローンがある」のは22%。独身者の3~4人は、住宅ローンを利用してマイホームを購入し残債がある、という計算です。独身者の35.2%が「持ち家」で、「自身で購入」が全体の23.4%、「相続・贈与」が11.9%、ということから、独身者の2割は一括キャッシュであったり、住宅ローンを活用しても短期間で完済(=調査時にはローン残高がない)したりした人たち、ということが推測できます。

 

そんな独身者、資産運用の最大の目的であった老後ですが、60歳未満に聞いたところ「老後が心配」が83.9%。心配の理由で最も多いのが「十分な金融資産がないから」で73.7%。「年金や保険が十分でないから」が53.2%と過半数を超えています。

 

特に老後不安が大きいのが40代で88.0%。ほぼ9割の40代独身者があと20年ほどでやってくる老後に、漠然とした不安を抱えています。前出の厚労省の調査によると、40代前半・男性の平均給与は月38.2円、手取りにすると28万円ほど。年収は591.1万円と、600万円が間近です。先ほど、独身者は平均「月3.5万円を貯蓄している」ということから、40年で1,600万円を超える貯蓄ができる計算。「老後、夫婦で2,000万円不足」と話題になりましたが、そこから考えて、独身で1,600万円の貯蓄があれば、余生は十分すぎるといえるでしょう。

 

もちろん、きちんと老後を見据えて家計運営をしていく、ということが条件ではありますが、平均的な独身者であれば「経済的に老後の心配はなし」というのがひとつの結論。

 

ひとつ心配なのは、老後の住まいの問題。独身者の6割は賃貸ということを考えると、生涯賃貸と考えている独身者は相当数いるでしょう。今後、高齢化が進むにしたがい状況は変わるという声もありますが、「単身高齢者は賃貸は借りづらい」というのが現状があります。「物件の立て替えで引越しを迫られたが、新居が見つからない……」「家賃が高いから引っ越したいが、適当な物件が見つからない」などと、「高齢者にして家無し」「家賃で家計を圧迫、破産の危機」という最悪の事態に直面する、ということもゼロではありません。

 

生涯独身を覚悟するなら、「お金の問題」と共に「住まいの問題」もしっかりと考えておくことがベストです。