(※写真はイメージです/PIXTA)

この冬はコロナ禍にあって初めて、インフルエンザの流行の兆しがあると専門家が懸念を示しています。また、1人目のお子さんが3歳以下の場合には、そもそも子どもがインフルエンザに罹った経験がないのではないでしょうか。この冬の流行に向けて、今一度インフルエンザとはなにかをおさらいしておきましょう。京都きづ川病院/きづ川クリニックの小児科医、米田真紀子先生が解説します。

インフルエンザのキホン

一般にインフルエンザとは、いわゆるインフルエンザウイルスのことです。ヒブ(インフルエンザ桿菌b)との区別が分かりにくいですが、ヒブはウイルスではなく細菌の一種です。ここ以降では、インフルエンザウイルス感染症のことを、簡略的にインフルエンザと記載します。

 

インフルエンザウイルスは主にA型からD型までありますが、ヒトに感染して冬期に大流行するのは、A型かB型です。

 

特にA型インフルエンザウイルスはその表面抗原の構造からヘマグルチニンのHとノイラミニダーゼのNの組み合わせで、100種類以上に分けられます。

 

たとえば、ヘマグルチニンの1型とノイラミニダーゼの1型の組み合わせは、A(H1N1)と表現されます。現在はA型であればA(H1N1)型、あるいはA(H3N2)型の2種、そしてB型はビクトリア株あるいは山形株の2系統のいずれかが流行しやすいと考えられています。

 

例年、各国の流行状況から、流行しそうな型を予測し、A型B型それぞれ2種類ずつ計4種類を混ぜ合わせてワクチンを精製しますが、インフルエンザウイルスは型の中でも変異を重ねていくという性質があるため、変異の程度が大きい場合には、ワクチンの有効率も下がっていってしまいます。

インフルエンザ症状の特徴

子どもの場合「熱せん妄」が起きることも

インフルエンザの症状は、発熱、咳、鼻水が主で、いわゆる感冒(風邪)と大きくは変わりませんが、特徴的なのは、高熱が出やすいこと、咳や鼻水などの症状が、発熱に続いて起こる傾向があることです。

 

また、高熱により、節々の痛みや頭痛なども強くなりやすく、通常感冒よりも症状がきつい場合が多くあります。ただし、これはあくまで傾向であって、高熱だからとか節々が痛いから、ということだけでインフルエンザかどうかを判定することはできません。

 

また、熱が出ないけれど倦怠感が強くて、検査をしたらインフルエンザが陽性に出た、というような症例もいくらでもあるので、症状や所見から判断することは難しいです。

 

一方、新型コロナウイルス感染症の症状も、特徴としてはインフルエンザとほとんど同じで、高熱からの発症、その後の咳・鼻水症状、数日の経過で自然軽快します。

 

以前は肺炎を起こしやすいといわれていましたが、オミクロン株以降は上気道炎としての傾向が強くなりました。このことからわかるように、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を症状や経過で見分けるのはほぼ不可能といえます。

 

インフルエンザのように急に高熱を出す疾患は、子どもの場合「熱せん妄」という状態を引き起こすことも知られています

 

高熱でうなされて突然わけのわからないことを言いだしたり、目に見えるはずのないものが見えるといったり、かと思えばいきなり笑いだしたりなど、普段と違う様子になることがあります。

 

また、「肺炎」を起こすこともあり、しばしば入院するきっかけになります。重篤な合併症としては、「脳炎・脳症」があり、体の免疫反応が過剰に働くことで、脳に損傷を与えてしまう病態で、命に関わることがあります。こうした症状もすべて新型コロナウイルス感染症にも共通してみられる症状です。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。