初心者がロットを上げてトレードするデメリット
慣れていないのにロットを上げてトレードすることの最大のデメリットは、評価益(損)の変動にメンタルがついていかないことです。 ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学で有名なプロスペクト理論では、「人間は損をしたときのマイナスの感情は、得をしたときのプラスの感情より2倍近く大きくなる」と説明しています。人間には損失を回避しようとする深層心理があるのです。 このように、人間の本能にしたがってトレードすると、必然的にロットを上げて損を取り返すようなトレードをするようになります。
しかし、慣れていないロットでのトレードは、正常な判断を鈍らせてしまいます。 損切りするべきところでナンピンをしたり、利確ラインはまだまだ先なのに早く利益を確定したりしてしまうなど、かえって損をする可能性を高めるトレードをしてしまいます。多くの初心者トレーダーは、普段よりも大きいロットで取引している時点で正常な判断を下せないことが多くなります。
その結果、ロットを大きくして取引すると、まぐれで収益を上げられていたとしても、最終的には大きな損失を被ってしまう可能性が高くなります。 負けたトレードのあとにロットを大きくしてしまう心理に打ち勝つためには、人間の本能に逆らっていく必要があるのです。
「損をしたくない」という欲望に打ち勝つためには
FXで継続的に収益を上げていくには、人間の本能に打ち勝つ必要があります。損をしたくないという人間本来の欲望に打ち勝つためにはどうすればよいのでしょうか。FX初心者が陥りがちな損失回避の心理を克服していくためには「損切りの捉え方」を変えていく必要があります。
プロトレーダーが考えているように損切りの発生は、次の利益を確保するために必要な経費である、という考え方を自分自身に浸透させる必要があります。損切りをマイナスなイメージからプラスのイメージに変えることで、損切りするときの罪悪感を少しずつ軽減していくとよいでしょう。 トレードをするときは、当初のしなりと異なった展開になれば、そのポジションはいったん解消しなければなりません。その際は、往々にして、損切りになってしまいます。
しかし、損切りをすることで、新たなシナリオのもとで新たなトレードをすることが可能になります。 損切りに対してマイナスのイメージが定着している人が、損切りをプラスの行動だと肯定することは非常に時間と労力のかかる仕事です。しかし、FXを長く続けていこうとしている限り避けては通れない道なのです。
清水 一喜
株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員