初心者トレーダーがビギナーズラックを決めたときは要注意です。その陰には"複利"の力が潜んでいると、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。今回は、初心者トレーダーを過信させる"複利"の力について解説します。
ビギナーズラックは要注意!初心者を過信させる“複利”の力とは?【プロトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

100万円の資金を元手に“複利”が持つ力を利用すると…

ロジックがとてもシンプルで、私たちの身の回りで利用されている“複利”という考え方があります。日本人のほとんどが知っている科学者アインシュタインも「複利は人類最大の発明」と称賛するほど、複利には力があります。FXや株式市場などの金融取引の世界では、特に複利の力が大きな影響力を持っています。資産を持てば持つほど複利の影響力は強くなり、一定以上の資産を持ってしまえば、複利の力を借りることで一生金銭に困らない生活を送ることができるでしょう。複利の力の膨大さをより感じていただくために、実際の数字を用いて解説していきます。

 

100万円の資金を元手として取引しているFXトレーダーがいるとします。彼は平均月5%の利益を出しているとします。彼の月ごとの収益を計算してみると、初月は5万円、次月は元手105万円に5%の利益が乗るので52,500円の利益です。さらに3ヵ月後には55,125円の利益を出すことができます。このトレーダーが月平均5%の利益を出せるとすると、15ヵ月後には原資100万円は200万円に、48ヵ月後には約1,000万円の資産を築くことができます。

 

この複利の力は原資が多ければ多いほど強くなります。

初心者トレーダーが偶然大きな利益を上げたときは要注意

複利は人を狂わせるほどの力を持っています。そして時に、複利の力はトレーダーを勘違いさせて破産へと導くこともあります。 FXを始めたばかりの初心者トレーダーは、1回1回のトレードに一喜一憂する傾向があります。勝ったときは自分の力を過信し、負けたときは相場の流れが悪かったと自己を正当化する初心者トレーダーが多くいます。

 

そのようななかで、複利の力は初心者トレーダーに襲いかかる瞬間があります。初心者トレーダーがビギナーズラックを決めてしまった瞬間です。レバレッジをかけているFXの世界ではビギナーズラックで得られる利益が大きくなる傾向があります。

 

さらに、偶然大きなトレンドに乗れて大きな利益を上げることができたトレーダーには、間違った複利の力がかかります。「過信」という間違った複利の副産物に気づかない初心者トレーダーは相場に対する謙虚さを失ってしまうため、どこかのタイミングで大きな損失を被ってしまいます。