30代で結婚し、子ども生まれ、マイホームを買い、60歳で定年を迎える……そんな日本人の平均。ただその通りに人生が進んでいくとは限りません。思わぬ病気で襲われたり、それによって収入が途絶えたり。高齢者がなるものというイメージのある認知症にかかる場合もあります。みていきましょう。
平均手取り月32万円だが…50代・会社員、まさかの「若年性認知症」収入大幅減の衝撃 (※写真はイメージです/PIXTA)

若年性認知症と診断されたら…自身と家族の生活を守る制度

決して他人ごとではない若年性認知症。診断後も自身と家族との生活は続いていくので、そこで気になるのはやはり収入です。

 

会社勤めであれば傷病手当金を申請することができますし、認知症の症状が進んだ際には、精神障害手帳を取得し、障害年金の申請もできます。

 

たとえ、現在の仕事を続けることが困難でも、企業によっては障害者雇用制度で採用という道もありますし、就労継続支援事業所で働き続けることも。認知症だからといって社会参加を諦める必要はなく、収入減は避けられませんが、収入ゼロは回避できるでしょう。

 

そして住宅ローン。たいてい団体信用生命保険に加入しているでしょう。症状によっては返済が免除される場合もあるので、一度、確認することをおすすめします。

 

若年性認知症の場合、症状が進んでも、若いだけあって体力があり、力が強いのが、介護の際に少々厄介。施設での介護が必要になっても、場合によっては入居等を断られるケースがあります。家族の負担軽減のためにも、症状が進行する前に、施設選びを進めることが重要です。

 

また財産の管理についても、症状が進行する前に整理することが大切。たとえば、最近、認知症対策として知られるようになったのが家族信託。預金や株券、不動産等の財産を、本人に代わり運用していくことができる制度です。症状が進み問題が起こる前に、家族まじえて話し合っておきましょう。

 

まさか自分が……若年性認知症と診断されたら、誰もがそう思うでしょうし、自身だけでなく家族も不安でいっぱいになるでしょう。そんな不安に寄り添い、解決してくれる制度等、充実しています。社会の理解も進んでいますので、将来を悲観するしかない、というものではなくなってきています。