40歳、32年ローンでマンション購入…「退職金でローン完済」の老後は?
老後、夫婦で2,000万円の貯蓄がないとダメだとする「老後資金2,000万円問題」も一気に解決できる……それが退職金。コツコツと頑張ってきたかいがあるというものです。ただこの退職金、以前は老後資金に充てる人が多いですが、最近は住宅ローンの完済で使用する人が増えています。
国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』によると、分譲マンション購入者の平均年齢はおおよそ40歳。そこで3,300万円・32年ローンを利用します。単純計算、60歳定年時には1,500万円超えの残金がある計算です。
【分譲マンション「購入者・物件」の平均像】
世帯主年齢:39.5歳(一次取得者)
世帯年収:852万円(一次取得者)
購入資金:4,674万円
借入金:3,337円
返済期間:32.0年
年間返済額:150.4万円
出所:国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』より
——年金生活に突入してからのローン返済はキツイ
そう考えて、退職金で一気に払ってしまうことを決断するわけです。以前であれば住宅購入時の年齢はもっと若く、たとえ退職金で住宅ローンを完済してしまっても、手元にそれなりの残るケースが多かったのですが、いまは完済したらそれまで。それまでローン返済に子どもの教育費にとギリギリいっぱいの生活をしてきて、貯蓄もそれほどないというケースも多く、「老後は年金だけが頼り」というケースも、決して珍しくないのです。
厚生労働省の調査によると、元会社員の男性が65歳から手にする平均年金額は17万円ほど。配偶者が専業主婦なら、満額で月6万4,816円(2022年度)ですから、夫婦で月23万円程度の年金を手にできる計算になります。
総務省『家計調査』によると、無職の高齢夫婦(65歳以上)の1ヵ月の消費支出は21万~23万円程度で、税金や保険料などをプラスすると25~26万円程度。平均値では「会社員×専業主婦(夫)」の夫婦は毎月赤字になる計算。節約生活が絶対条件となります。しかし「会社員×会社員」であれば、平均的な老後生活は送れそうな算段です。
もちろん将来的に介護が必要になるなど、不測の事態に備えておく必要はありますが、「平均的な年金額」がみえていれば、「年金だけで暮らす」というのも現実的な話といえるでしょう。もちろん「平均的な年金額」を手にできる人は恵まれている人たちだけであり、多くの人は自助努力が求められている事実を知っておかなければなりません。