タワマンが限界ニュータウンの二の舞に!?
タワマンがこれほどまで人気の理由として「眺望」とイメージされがちですが、それ以上に支持されているのがその立地、そしてそこに紐づく資産性。昨今、タワマンは駅前の再開発と共に計画されることが多く、自ずと「好立地」というメリットが得られます。不動産の価値はロケーションによるところが大きいですから、当然、タワマン=資産価値が高いとなるわけです。
実際2000年代にタワマンを購入した人たちは、購入時よりも高い価格で売却に成功。多くの売却益を得た、というのも珍しくありません。そんな話を聞き、「どうせ買うなら、値上がりするタワマン」と考える人も多くいるようです。
しかしそんな状況に対し警報を鳴らす専門家が後を絶ちません。その多くが「都心のタワマンであれば大丈夫だが、郊外や地方のタワマンの先行きは不安」というもの。それは単純な話、日本は人口減少期に入っていて、これまでどおり、不動産価値が担保できるかは不透明、ということ。
国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口』によると、日本の人口は2040年に1億1,091万人、そして2053年には9,924万人と1億人を割り、2065年には8,807万人になると推計されています。総務省が公表している人口推計では46都道府県で人口減を記録。地方ほどその減少率は大きくなっています。縮小していく日本。それも加速度的に……そのような状況で、タワマンの資産価値はこれまでのように保たれるのか、疑問符がついているわけです。
タワマンはその規模からニュータウンに例えられることがあります。ニュータウンは高度成長期の住宅不足を解消するために、全国に造られた新しい街。一気に入居が始まり、それから40〜50年。高齢化により「限界ニュータウン」といわれるところも珍しくありません。数百世帯を抱える大規模なタワマンは、まさにひとつの街。分譲のタイミングでファミリー世帯が一気に入居します。都心のタワマンでは入居者の新陳代謝が行われますが、地方のタワマンでは新陳代謝は不十分。一気に高齢化が進むと考えられます。
好立地で資産価値も高いことが決め手となって購入を決めた憧れのタワマン。しかし数十年後には高齢者ばかりの廃墟となり、現在、多くのニュータウンが抱えるような諸問題が襲い掛かる……現実味帯びる危機だといえるでしょう。