東証一部(プライム市場)上場企業で課長を務める59歳のEさん。7歳年下の妻とのあいだに2人の子供も生まれ、順風満帆な人生のはずでした。しかし、定年直前というタイミングで、自らの「老後破産の危険性」に気づいてしまいました。いったいどこから歯車が狂っていたのでしょうか。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也氏が、Eさんの「4つの問題点」と解決策を解説します。
手取り月47万円「59歳・大企業の課長」…定年直前に気付いた「老後破産の危機」【AFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

退職金2,000万なのに老後破産の危機…Eさんの「問題点」4つ

今回の相談者Eさんは収入があり家族にも恵まれました。家の購入時には親からの支援もあったにもかかわらず、なぜ老後の資金が不足してしまったのでしょうか?今回のケースにおける問題点を確認してみましょう。

 

1.住宅ローンの返済について深く考えずに家を購入した
2.仕事が忙しく貯金しかしておらず、資産形成を怠っていた
3.奥さんは扶養の範囲内で働いていたため、年金の受取額が少ない
4.子どもの教育費や定年後のことをイメージできていなかった

 

4点それぞれの対応策・改善点は以下のようになります。

 

1. 住宅ローンの返済について深く考えずに家を購入した

→家の購入は「ローンが組める金額」ではなく「無理なく返済できる金額」にする

 

「なんとなく家が欲しい」という気持ちで不動産会社の展示会や内覧会へ参加すると、『なんとなくよい家があったから』『なんとなく担当者と気が合ったから』という理由で家を買ってしまい、後悔することがあります。

 

また、不動産会社は住宅購入者が組める住宅ローンの上限いっぱいの物件を勧める傾向があり、そのせいで住宅ローンの返済に苦慮する人も少なくありません。そのため、決して「なんとなく」で購入しないようにしましょう。

 

2.仕事が忙しく貯金しかしておらず、資産形成を怠っていた

→iDeCo・つみたてNISAを活用する

 

昔とは違いいまは金利が低いため、預貯金だけではお金は増えません。また、年金の受取額も減っています。

 

iDeCoやつみたてNISAのように、税制優遇があり、着実にお金を貯めながら増やせる資産形成を行うことで、老後にゆとりをもつことができます。少額からでもよいので、早くから取り組み始めるのがいいでしょう。

 

3.奥さんは扶養の範囲内で働いていたため、年金の受取額が少ない

→年金受取額を増やすため、奥さんは扶養の範囲内で働かず厚生年金に加入できる働き方をする

 

扶養の範囲内であれば社会保障費や税金の負担が少なくて済みますが、その分収入も少なく、年金受取額も少なくなってしまいます。子供にかかる時間が減ったタイミングで仕事にしっかり取り組めるのであれば、扶養の範囲を外れて働くことも検討しましょう。

 

4.子どもの教育費や定年後のことをイメージできていなかった

→人生設計(ライフプランニング)を定期的に実施する

 

将来のことを見据えて人生設計を考えることは大切です。日々の仕事や子育てに追われてしまいますが、年度初めや誕生日などの機会にライフプランニングをしてみましょう。

 

また、子供の誕生や家の購入など家計の状況が大きく変わった際は、その都度プランニングすることをおすすめします。ご自身で計画を立てるのが難しければ、ファイナンシャルプランナーなどお金の専門家に相談するのも選択肢の1つです。

 

Eさんのようにならないために「人生設計」を行い、必要があれば早めの「資産形成」に取り組んでいきましょう。

 

 

武田 拓也

株式会社FAMORE

代表取締役