コロナ禍でネットショッピングをする人が増えましたが、それに伴い、忙しくしているのがトラック運転手。そこで気になるのが、彼らの給与。どれくらい働き、どれくらい稼いでいるのか、みていきましょう。
会社員の平均給与「月30万円」だが…49歳・トラック運転手、絶望の手取り額「こんなに働いて、これだけ」 (※写真はイメージです/PIXTA)

給与は平均を下回り、労働時間は平均を上回る…「トラック運転手」の苦渋

そんなトラック運転手。どれほどの給与を手にしているのでしょうか。厚生労働省『令和3年賃金構造統計調査』によると、平均給与(大型トラック運転手の所定内給与額)は月28.2万円(平均年齢49.9歳、平均勤続年数12.1年)。手取りにすると22万円ほど。手当や残業代を加味した推定年収は463万1,900円です。全産業の平均は月収30万7,400円、推定年収が489万3,100円ですから、平均を若干下回ります。

 

賃金以上に問題視されているのが、まずは人手不足。厚生労働省『令和3年11月 労働経済動向調査』によると、全産業の欠員率は2.3%に対し、トラック運転手含む運輸業・郵便業の欠員率は3.5%。有効求人倍率も令和3年度2.06と、全産業の倍近く。完全に人手が足りていません。さらに高齢化も進行。全産業の平均年齢は43.2歳に対し、大型トラック運転手の平均は49.9歳、それ以外の運転手で47.4歳。このままではドライバー不足はますます深刻化することが確実視されています。

 

なぜ人手不足なのかは、その労働環境にあるといえます。トラック運転手の年間労働時間は、大型トラックで2,244時間、それ以外で2,484時間。全産業平均は2,112時間ですから、トラック運転手は全産業と比較して、低賃金のうえ、長時間労働という厳しい労働環境下にあり、それが人手不足の要因となっています。

 

国土交通省によると、宅配便の取り扱い個数は右肩上がり。1992年は年間12億個だったのが、その10年後の2002年には28億個、さらにその10年後の2012年には35億個、コロナ禍の2020年には48億個に達しました。運転手の負荷になっている再配達率は、コロナ禍の2020年4月には在宅率の増加もあり大きく改善しましたが、在宅率が下がるにつれて上昇傾向に。2021年10月では全国で11.9%、都市部で13.0%、地方で10.4%。10件に1件以上という状況に。このままでは、便利な宅配サービスが受けられなくなる……そんな未来が待っているかもしれません。

 

再配達は利用者1人ひとりの心がけでも避けられるもの。ちょっとした気遣いが、トラック運転手の労働環境改善にもつながります。