「老後2,000万円問題」が叫ばれて久しい昨今、定年後を見据えた資金形成は喫緊の問題となっています。今回は、FP事務所ストラットの代表である伊豫田誠氏が、「年金制度」「退職金制度」「自己資産」の3つの観点から、資金計画を立てるうえで押さえておきたいポイントについて解説します。
定年後の年金受給額に唖然…59歳・会社員の身に立ち込める「老後生活の暗雲」 (※写真はイメージです/PIXTA)

まだ間に合う!…視野に入れたい「不動産投資」

簡単に老後資金をいまより多く準備できるのならそれに越したことはないですが、さらに貯金・保険・投信などで資産を増やすには限界があると思います。これらは、いま我慢して節約した分を老後に使うだけで、使える金額を大きく増やせるわけではありません。

 

筆者の事務所にも、もうすぐ60歳を迎える定年前のサラリーマンの方々が「あんなに働いたのに……年金がこんなに少ないとは思わなかった。老後の資金はどうすればいいですか」という相談がきますが、この時点で無対策の場合、できることが限られてきます。

 

しかし、定年を目前にして策が無いかといえば、そうでもありません。「無い袖は振れない」と思いがちですが、不動産投資を活用すれば老後資金にゆとりが作れるかもしれません。

 

たとえば、次のような物件を「現金で購入」した場合にはどうでしょうか。

 

・ワンルームマンション(約25平米)
・築15年の中古物件
・東京23区内
・最寄り駅から徒歩5分
・物件価格2,000万円
・表面利回り4.5%(実質利回り4.0%)
※空室リスクが低い、4%前後の物件を参考としています。

 

物件価格2,000万円に対して、実質利回りで4.0%が確保できれば、年間の家賃からの使える収入は80万円になります。単純計算で、25年間で2,000万円の年金的な収入となり、定年後25年以上長生きできれば、現金を切り崩していくよりお得になります。仮に家賃の下落や修繕費用などで収入が落ちたとしても、物件自体の価格が25年後でも1,000~1,500万円は確保できると予測できるため落ち込みをカバーできます。

 

また、現金が無くても定年前で会社に在籍中ならば、50代の人でも満85歳までの返済計画で不動産を購入することも可能です(物件や個人の状況によって異なります)。

 

定年前に銀行融資を活用するか、活用しないかで、老後資金に数千万円の差が生じる場合があります。これは非常に重要で必ず考えておきたい点です。過去の実績でも10年ほどの運用で1,000万円ほどの売却益を得ることができたケースもあります。また、万一があったときには家族に無借金の不動産が残ります。

 

収入を増やしにくい時代だからこそ、超低金利の融資枠が自分にあるのならば、これを使わないことは非常にもったいなく非合理的だと、筆者の過去の経験からも強く思います。

 

不動産投資には区分マンションや1棟アパートなど、また新築物件や中古物件などあり、どのような不動産投資が自分に適しているのか、経験や実績のあるFPに1度は相談してみましょう。

 

 

伊豫田 誠

FP事務所ストラット

代表/不動産投資専門ファイナンシャルプランナー