定年退職後も人生は30年以上…考えておきたい「老後の資金計画」
2025年4月から65歳までの雇用確保が義務となります。とはいえ人生100年時代のリスクは思いがけないほど大きく、定年を65歳としても100歳まで残りの人生は35年と非常に長期です。
20歳から55歳までの35年間を思い返すと、多くのライフイベントがあったことでしょう。就職や結婚、出産、マイホームの購入、子供の受験や結婚……なかには孫まで生まれた人もいるかもしれません。それだけの年数が60歳以降にも控えているということは、金銭面でたいへん大きなリスクになります。
これまでのように、1つの企業に定年まで勤め上げ、その後は退職金と年金で悠々自適な老後生活を過ごすといった計画はいまやとうに過去のモデル。このような計画では「資金不足」が予測されます。
いざ老後をむかえたときに「そんなの知らなかった!」と後悔しないためにも、まずは定年を迎える時点での資金計画を把握することが重要です。
資金計画づくりのチェックポイント①年金制度
資金計画を把握するうえで最初に確認したい点は、定年後に受け取れる年金の金額です。これは「年金定期便」で確認することができますが、個々の状況で大きな違いがありますので必ず自分で確認しておきましょう。
年金給付額は、基本的に賃金や物価の上昇率などの改定指標を乗じて給付額が決められますが、令和2年における年金の平均給付額は下記になります。
厚生年金:約14.4万円
(出所:厚生労働省 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況)
厚生年金の平均給付額は約14.4万円ですが、実は10年前より約2万円も減少しているという厳しい現実があります。
国家予算の一般会計で約3分の1を占める社会保障費(年金・医療・福祉)は36兆円を超え、15歳~64歳の生産年齢人口の7,450万人で負担すると考えると、社会保障費は1人当たり年間約48万円(毎月約4万円)の負担になっています。
しかもこの社会保障費は毎年約1兆円のペースで増加している一方、出生率低下に伴う生産年齢人口の減少と65歳以上の人口割合が30%を超える未来は避けられません。今後充分な社会保障が受けられるかは不透明です。