▶原発性腋窩多汗症の重症度
汗が多い、困っている、といっても、症状やその程度はいろいろです。症状の強さによって重症度を評価します。
重症度評価尺度
1.発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
2.発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
3.発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
4.発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
3,4は重症と判断されます。
原発性局所多汗症診療ガイドライン策定委員会. 日皮会誌. 2015; 125: 1379-1400
ワキ汗が気になる方は皮膚科専門医に相談を
▶病院で処方できる効果的な塗り薬
これまでのワキ汗の治療として、塩化アルミニウム液という塗り薬はありましたが、なかなか十分な効果が得られませんでした。また、A型ボツリヌス毒素の注射、交感神経をブロックする手術などの方法もありますが、そこまでは希望しない、手術の後遺症が出ることもある、などの問題もありました。病院でおすすめできる治療に乏しかったのです。
しかし近年、効果の高い新しい塗り薬が使えるようになりました。この塗り薬は、汗を分泌させる交感神経をブロックすることで汗腺からの発汗を抑えます。原発性腋窩多汗症の健康保険の適応も認められています。実際に薬を使った多くの患者さんから、わきの汗が気にならなくなった、と喜ばれています。
わきの下に塗るだけなので、重大な副作用はあまりありませんが、かぶれ、目がおかしい、口が渇くなどの症状が出た場合には中止しなければなりません。妊婦さん、授乳中の方、12歳以下の子供さんは慎重に使用する必要があります。緑内障の方、前立腺肥大による排尿障害がある方、成分にアレルギーがある方は使えません。
手足の多汗で悩まれる方も多いのですが、残念ながら、わきの下以外の部位には使うことができません。これまでの治療で対応していくことになります。
「ワキの下の臭い(ワキガ=腋臭症〈えきしゅうしょう〉)にも効きますか?」とよく聞かれます。直接的には臭いの原因になるアポクリン汗腺からの汗には作用しないのですが、汗の量を抑えることで臭いを軽減することにもつながります。
▶生活の質を改善するために
皮膚の悩みは、日常を心地良く過ごせるかどうかという「生活の質」に大きく影響します。
実は悩んでいても人に言えない、治療はないとあきらめている、という方も多いのではないでしょうか。
医療は進歩しています。ワキ汗が気になる方、気軽に皮膚科専門医に相談してみてください。
*「たかが汗」ではない、悩める汗への関心を高めてほしい、詳しいサイトもあります。
https://wakiase-navi.jp/
永井 弥生
オフィス風の道 代表
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