(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化が進み、日本における不整脈の患者数は年々増加しています。不整脈自体が日常生活におよぼす影響は大きくないものの、放っておくと心不全や脳梗塞といった重病を併発するため、不整脈は予防・改善が重要だと、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長はいいます。では、日常生活においてどのような点を気をつけるとよいのでしょうか。解説します。

不整脈や高血圧予防に役立つ食事に対する7つの意識

③魚油

先述したDHAやEPAの魚油には、血圧を降下させる作用があります。しかし、1日3.7g以上取らなければ効果が見られないということもわかっています。これを魚に換算すると、まぐろのお刺身なら約1.6kgとなり、さすがに毎日食べられる量ではありません。

 

しかし、魚油には抗不整脈効果もあるため、毎日少しずつでも食べ続けることで、確実に不整脈を予防する効果が期待できます。

 

現在、厚生労働省はDHAとEPAを毎日1g以上摂取することを推奨しています。それらを魚で取ろうとすると、必要な量は次の通りです。

 

・まぐろ刺身 約43切れ(約435g)

・かつお刺身 約89切れ(約893g)

・焼きいわし 約1尾(約40g)

※文部科学省 五訂増補日本食品標準成分表

 

このなかで特におすすめしたいのが焼き魚です。なぜなら、焼き魚に含まれるDHAは熱分解や酸化の影響を受けにくく、残存率が高いからです。毎日焼き魚1尾食べることは、それほど難しくないでしょう。私も毎朝、減塩の塩さばを食べています。

出典:J Hypertens. 2015;33:1509-20.

カリウムと血圧の関係を研究した15の論文をメタ解析

 

④食物繊維

1966〜2003年に発表された「食物繊維と血圧に関する24の研究のまとめ」によれば、食物繊維の摂取が平均11.5g/日以上の場合、血圧は有意に低下することがわかっています。

 

食物繊維は海藻類、豆類、野菜類、きのこ類、果実類などにたくさん含まれています。私も毎朝キャベツの千切りを山盛りで食べています。そのおかげもあって血圧は正常、心疾患のリスクはほぼありません。

 

ただし、生野菜だけで必要な食物繊維を摂取するとなると、相当な量が必要になるため、スープにするのもおすすめです。加熱することで野菜の細胞壁が壊れ、細胞内の栄養が溶け出して体内に摂取しやすくなります。

 

⑤タンパク質

タンパク質のなかでも特に高血圧と深い関係があるのは、豆タンパクです。302人の高血圧患を、豆タンパク群(40g/日)と複合炭水化物群(ごはん、小麦、じゃがいも)に分けて12週間観察したところ、豆タンパク群のほうが複合炭水化物群よりも有意に血圧が低下しました。

出典:Ann Intern Med. 2005;143(1):1

 

⑥葉酸

「12の研究をまとめたメタ解析」によれば、5000μg/日の葉酸を摂取すると血圧は有意に低下することがわかっています。

出典:J Chiropr Med. 2009;8:15-24

 

⑦フラボノイド(ポリフェノール)

フラボノイドとは、天然に存在する有機化合物群で、さまざまな健康効果を持つ物質のことです。自然界には4000種類以上あるとされていますが、なかでも高血圧に大きな効果を持つのがココアであり、フラボノイドを多く含むココア製品は優位に降圧効果があることがわかっています。

出典:Cochrane Database Syst Rev. 2017;4:CD008893

健康維持は「こまめな努力」から

タンパク質や食物繊維を積極的に摂取することは、不整脈や高血圧にいいだけでなく、さまざまな健康効果をもたらします。

 

日ごろ、コンビニ食や外食が多い場合は、原材料表示を見て塩分量を確認したり、塩分の高すぎるメニューを避けることを意識してください。

 

こまめな努力が、健康維持にいい影響をもたらします。ぜひ、今日からの習慣にしてみましょう。

 

 

桑原 大志

東京ハートリズムクリニック

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。