40歳司法書士の夫、順調に売上を伸ばしていたが…
A「同級生であった夫は大学卒業後、法律事務所で8年ほど働きながら司法書士試験に挑戦していました。司法書士試験に合格した31歳のときに結婚し、そのまま勢いで事務所を開業するというので、私は勤めていた会社を辞めて夫の仕事を手伝うことになりました。
その後ゆっくりではあるものの、順調に顧客が増えていき、売上が安定してきたところで夫が突然くも膜下出血で亡くなってしまいました。
夫の生前に生命保険や住宅購入、老後資金の準備について時々話し合ってはいたのですが、『おれには定年がないから老後も働き続ける予定だし、心配するな』といわれ、万が一のことはあまり真剣に考えていませんでした。
夫の死後、資格のない私では事務所を続けていくことは不可能なので、廃業することになりそうです。私達には子供がいないので教育費などの心配はありませんが、私の再就職先が見つかるかなど今後の生活がとても不安です」
――自営業の夫に先立たれてしまったAさんは、
①一定期間収入が断たれる
②老後の年金が少なくなる
という2つの問題に直面することになる。
公的年金の制度には、老後に受け取れる「老齢年金」だけでなく、一家の働き手が亡くなったときに家族が受け取れる「遺族年金」という制度がある。これは、一家の働き手が亡くなってしまった遺族の生活を助けるための制度である。
しかし、国民年金のみに加入している世帯は受給要件を満たしていない場合、遺族年金を受給できないことがある。
遺族年金の制度
遺族年金には「遺族基礎年金」と、「遺族厚生年金」の2種類があり、遺族年金の対象となる人が自営業者の場合は「遺族基礎年金」、会社員の場合は「遺族基礎年金+遺族厚生年金」が支給される。
ただし、遺族基礎年金は子供がいる配偶者でないと受け取ることができないので、注意が必要だ。
また、遺族厚生年金の対象となる、亡くなった人の要件は次のとおりである。
(2)厚生年金保険加入中に初診日がある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
(3)1級・2級の障害厚生年金を受け取っている人が死亡したとき
(4)老齢厚生年金の受給権者であった人が死亡したとき
(5)老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき
※(4)、(5)の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある人に限る。