長い長い会社員人生ののち、やっと手にする退職金。頑張ってきた自分へのご褒美、そしてすぐにやってくる老後の生活資金として、なくてはならないものですが、昨今では退職金のない会社も増えています。「退職金がないなんてブラック企業では」と疑念を抱く人も。みていきましょう。
大企業で2,000万円、中小企業で1,000万円が平均だが…「退職金がありません!」それって、ブラック企業ですか? (※写真はイメージです/PIXTA)

老後の資金不足を一気に解消する、会社員の退職金

定年退職したら退職金をもらい、それで悠々自適な生活を満喫する……これが日本のサラリーマンの典型的な夢でしょうか。

 

一般社団法人日本経済団体連合会『2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査』によると、2021年、「退職一時金制度と退職金年金制度を併用する」企業は66.1%、「退職一時金制度のみ」が15.9%、「退職年金制度のみ」が10.3%となっています。併用型が最多であるものの、2014年以来の6割台。一方で退職一時金のみの企業は、前回2018年より5ポイントアップとなりました。

 

大卒総合職の標準退職金の支給額をみていくと、60歳定年退職まで勤め上げたとすると、手にする退職金は平均2,243万円。「老後資金2,000万円問題」などと騒がれましたが、退職金だけで一気に解決することができます。

 

【大卒総合職の標準退職金】

23歳(勤続1年):25.9万円/1.2ヵ月

25歳(勤続3年):64.7万円/2.7ヵ月

27歳(勤続5年):116.9万円/4.3ヵ月

32歳(勤続10年):288.6万円/8.6ヵ月

37歳(勤続15年):519.8万円/13.2ヵ月

42歳(勤続20年):822.3万円/17.8ヵ月

47歳(勤続25年):1,209.0万円/23.1ヵ月

52歳(勤続30年):1,649.1万円/29.7ヵ月

55歳(勤続33年):1,931.8万円/32.4ヵ月

57歳(勤続35年):2,085.8万円/36.1ヵ月

60歳(勤続38年):2,243.3万円/38.1ヵ月

 

出所:一般社団法人日本経済団体連合会『2021年9月度退職金・年金に関する実態調査』より

※数値:左は会社都合の場合の退職金額(退職金一時金のみ、退職一時金と年金併用、退職年金のみの場合の額を合算し、単純平均したもの)、右は支給月数(所定労働時間内賃金(2021年9月度標準者賃金)をもとに算出

 

また東京都『中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)』で東京都の従業員10~299名企業の退職金についてみていくと、「退職一時金制度のみ」が71.8%。「退職金一時金と退職年金の併用」が23.3%、「退職年金のみ」が4.9%。「退職金制度、そのものがない」が20.9%でした。

 

モデル退職金をみていくと、定年退職で1,189万円。大企業と中小企業で、退職金にはおおよそ1,000万円近い差が生じています。中小企業勤務では、「退職金で一発逆転ホームラン」とまではいかないかもしれません。それでも老後を見据えるタイミングでの大金は、とてもありがたいものでしょう。

 

【大卒総合職の標準退職金】

32歳(勤続10年):148.3万円/5.4ヵ月

37歳(勤続15年):266万円/8.5ヵ月

42歳(勤続20年):425万円/12.1ヵ月

47歳(勤続25年):598万円/15.4ヵ月

52歳(勤続30年):785.6万円/18.7ヵ月

定年退職:1,189万円/24.7歳

 

出所:東京都『中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)』より

※数値:左は会社都合の場合の退職金支給金額、右は支給月数