(※写真はイメージです/PIXTA)

0~1歳児が保育園に入園して、次々に感染症に感染する現象を、「保育園の洗礼」と呼ぶことがあります。特に冬は、インフルエンザやRSウイルスなどの感染症がもっとも多い季節であり、集団感染の危険性が高まると、きづ川クリニック小児科医の米田真紀子氏はいいます。では、こうした避けられない事態に保護者はどのような心構えを持ち、対処していくべきなのか、みていきましょう。

家庭から集団生活へ…感染症リスクが高まる

生まれてからしばらくは外にお出かけすることも少なく、出るとしても抱っこひもやベビーカーに乗ってのお買い物程度です。生後半年くらいまでは母親からもらっている、様々な病原体に対しての抗体もありますし、そもそも人に出会う機会も少ないので、感染症にかかる頻度も少ないです。

 

ところが、生後半年を過ぎて、さらに他の子供たちと密接に関わったり、長時間一緒に過ごすようになると、当然ながら感染症にかかってしまうリスクが増えていきます。

 

他の子供たちと密接に関わるという意味では、きょうだいが多いと、保育園児でなくても同じように感染症をもらってしまう可能性が高まります。そのため、大家族に生まれた赤ちゃんは、初めて熱を出す月齢が低くなる傾向にあります。

ウイルスの感染経路

感染症が広がっていく経路は、飛沫感染、接触感染、空気感染があります。子供たちの集団生活ではどの経路も問題になりますが、1番感染経路として多いのが飛沫感染です。

 

飛沫感染は、病原体を持っている子供のよだれや鼻水、排泄物にウイルスが含まれ、それが間接的に他の子供の口から摂取されると、発病することがあります。体のなかに入るウイルスの量が多いと、発病するリスクも高くなり、症状も重くなりがちです。

 

コロナ禍の保育園では、飛沫感染や接触感染を防ぐためにずっと前から頻繁に子供たちが生活する環境全体の消毒を行ったり、おもちゃも消毒しやすいものに統一したり、エアロゾル感染を防ぐために換気も定期的に行ったりして、感染症対策を徹底してきました。

 

そうして一時期は感染症が全体的に激減しましたが、そうすると、さまざまなウイルスに対して抗体を持っている子供の絶対数が減ってしまいました。抗体を持っていないと、従来はほとんど自身の免疫力で感染を回避できていたようなウイルス量でも、感染症を発症してしまうことがあります。

 

この3年間で子供たちを感染症から遠ざけたがために、子供たちの「保育園の洗礼」をあとのばしにしてしまい、結果的に長引かせるような結果となっているとも考えられます。

 

結局は、感染症に対する免疫力を獲得するためには、その感染症に罹患して克服していくか、ワクチンがあるものはワクチンを打つしかありません。

 

ただ、低年齢であればあるほど感染症が重症化するリスクは高まりますので、感染する年齢を少しでも遅らせることができたのであれば、それはいいことなのかもしれません。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。