氷河期世代…40~50代で「パート・アルバイト」は36万人
就職氷河期は、バブル経済が崩壊した1993年から2005年ごろまでを指し、2022年、40代~50代前半にあたる人たちです。総務省『労働力調査』(2021年)によると、就業者は6,667万人。年齢別にみていくと、男性では40代後半が最も多く458万人。続いて50代前半で432万人、40代前半で397万人と続き、現役世代の多くを占めています。
雇用形態別にみていくと、「男性正社員」は20代前半で59.6%だったのが、20代後半では84.3%、30代前半では87.5%と推移し、30代後半~50代前半では90%を超えます。一方、「男性非正規」は20代前半で40.4%だったのが、20代後半では15.3%、30代前半では12.5%と推移し、30代後半~50代前半では10%を下回ります。さらに「パート・アルバイト」についてみていくと、20代前半で33.8%だったのが、20代後半では7.8%、30代前半では5.7%と推移し、30代後半~50代前半では3%台で推移していきます。
氷河期世代と聞くと、非正規の人が多くいるイメージではありますが、割合としては少数派。問題は、これまでに浮上できなかった人たちに、タイムリミットが迫っている、ということです。
ボリュームの多い40代~50代前半は、会社人として年齢と共に給与もあがり、ピークに達するとき。大卒・正社員であれば、40代前半で月44.6万円、年684万円、40代後半で月48.3万円、年748万円、50代前半で53.3万円、年841万円と推移していきます。
一方、40代前半~50代前半にして「パート・アルバイト」という人も計32万人ほどいます。最終学歴大卒の「パート・アルバイト」の時給は平均3,002円。1日当たりの5.5時間、月に13.2日働くので、月収21万7,945円、手取り16万円というのが平均値。ボリュームの大きい40代~50代前半では、平均手取り20万~23万円といったところです。
【大卒男性「パート・アルバイト」の月収】
20代前半:6万9,270円
20代後半:16万5,157円
30代前半:22万5,910円
30代後半:35万3,345円
40代前半:28万2,005円
40代後半:27万5,047円
50代前半:30万4,266円
50代後半:26万8,514円
60代前半:24万7,250円
出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出
月収30万円……意外にもらっていると思えるかもしれませんが、年収にすると賞与は期待できないので、単純に12倍。50代前半で年収360万円程度ですから、相対的に低収入といえるでしょう。
最終学歴、大学。それでも「パート・アルバイト」という40代~50代前半の男性は36万人。もちろん、昨今は専業主夫という人も珍しくないですし、積極的にパート・アルバイトを選択している、という人もいるでしょう。ただそのなかに多く含まれているのが、「不本意ながらパート・アルバイトを続けている」という氷河期世代の人たちです。
正社員になれず、パートやアルバイトとして食いつないでいくことを選び、いまに至る人。正社員になれたものの、希望する職ではなかったため長続きせず、退職したのちパートやアルバイトを始め、いまに至る人……事情は異なるものの、「できれば正社員になって生活を安定させたい」とか「より高収入を目指したい」と考えながらも、雇用環境が厳しく、なかなか浮上する機会を掴めずにいた人が多くいました。
——就職氷河期世代の人を正社員に!
そう支援が叫ばれるようになったときには、「氷河期第1期」ともいえる人たちはすでに50歳近くになっていました。その時点で「学び直し」といわれても、あと10年ほどで定年年齢に達する人たちには時間的な余裕などありません。企業側も定年が見えている人たちよりも、若い人を採用したいと考えるでしょう。
氷河期世代の学び直し、どこにもニーズはないと酷評する専門家も少なくありません。手を差し伸べるにしては遅すぎで、当事者も「私たちにお金を使うくらいなら、若い人にお金を使って」と諦め気味。氷河期世代支援と声高に訴える政治家を鼻で笑っています。