「世界の貧困は決して解決できない」と言えるワケ
世界的には、2008年頃から財政危機が表面化していたギリシャも、2015年ついに先進国初の「債務延滞」に陥った。
ユーロ圏の19カ国は同年7月16日つなぎ融資に合意しているけれど、前途はまことに多難と思われる。
そのギリシャにさえ不法移民・難民がおしかけ更にヨーロッパ各地へなだれ込もうとしており、政情の不安な中東やアフリカからの密入国者たちが急増することによって、各国内の生活水準が下がり、社会不安を招くなど苦慮しはじめることになった。
そのうえ、2016年6月英国が欧州連合(EU)からの離脱を表明(※2)したので、仏・独・オランダ・ベルギー各国の離脱分子も勢いづき、世界経済は今後ますます混乱すると予想される。
そして、国連は2015年に「持続可能な開発目標(SDGs)」として17項目を定め、その第一番目に掲げた目標が「貧困をなくそう(NoPoverty)」である。
しかし、市場経済を主流とする資本・共産両主義の国々では、国民の大多数を貧困にした<虚の富>を放任しているし<富の偏倚>も制限しないから、「世界の貧困」は決して解決できないであろう。
(※1)国や地方自治体で働きながら貧困に苦しむ人の現状を考える「なくそう! 官製ワーキングプア研究会」は、年収200万円未満で長く働いていても昇給はないと公表し、民間に200万円以下の者や失業者が多くいる実状も報道されている。
(※2)EUが1993年発足以来加盟国の離脱は初めてである。
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青沼 爽壱
日本大学法学部勤務