(※写真はイメージです/PIXTA)

罹患数が年々増えている肺がん……症状が進んでから発見される要因のひとつとして、ただの風邪や気管支炎、喘息などの症状と見分けがつきにくいことが挙げられます。病状が進行してから発覚することの多い肺がんを「早期発見」するにはどうすればよいのか。MYメディカルクリニック横浜みなとみらいの、山本康博院長が解説します。

“国民病”ともいえる肺がん…原因第1位は「たばこ」

肺がんは、肺の気管支や肺胞の細胞が、がん細胞になることで起こります。肺がんの原因は遺伝子が傷つき、異常な細胞が増えることによります。

 

遺伝子を傷つける原因にはさまざまなものがありますが、やはり1番の原因はたばこです。たばこを吸う人は、たばこを吸わない人に比べて、男性で約4~5倍、女性で約3~4倍、肺がんになりやすいとされています。

 

また、たばこを吸い始めた年齢が若いほど、吸う本数が多いほど肺がんになりやすいといわれています。

 

たばこの煙のなかには約200種類の有害物質が含まれており、この有害物質のなかに約60種類もの発がん性物質が含まれていることがわかっています。

 

喫煙以外には、大気汚染やアスベスト、ラドンなどの化学物質も遺伝子を傷つける原因になります。まったくたばこを吸わない方の肺がん患者さんもおり、この場合その他の遺伝や環境因子が原因であると推測されています。

 

年々増加する罹患数、上がる死亡率

新たに肺がんと診断された方の数(罹患数)は年々増加しており、2018年には約12万人(男性:約8万人、女性:4万人)が肺がんと診断されています。

 

肺がんは罹患数の増加とともに死亡率も上昇しており、1998年に胃がんを抜いて肺がんが死亡率の第1位となりました。その後も死亡率は高まり、2020年には「約7万5,600人」が肺がんで亡くなっています。男女別の死亡者数は、男性で約5万3,200人(死亡率第1位)、女性で約2万2,300人(死亡率第2位)となっています。

 

このように、肺がんは発症してしまうと極めて予後の悪いがんですので、早期発見に努めることがとても大切です。

肺がんの初期症状…「長期間続く咳と痰」に注意

肺は呼吸に関わる臓器ですから、肺がんによって肺の機能に影響が出始めると、次のような呼吸にまつわる症状があらわれることが多いです。

 

•咳
•痰の増加
•血痰
•呼吸困難
•息切れ
•息苦しさ
•胸の痛み

 

このなかでも、特に咳と痰の症状が最も頻度が高いといわれています。さらに食欲不振や体重減少などの全身症状がみられることもあります。

 

ただし、これらの症状は肺がんに限らず、気管支炎や肺炎、喘息などの一般的な呼吸器の病気でも同じようにみられる症状ですので、「この症状があれば肺がん」といえるような肺がんに限定された症状ではありません。また、肺がんのできた場所や大きさによって、ほとんど症状が出ないこともあります。

 

さらに、肺がんが進行すると、強い息苦しさ、胸の痛みなどの症状が起きることがあります。これは、肺がんが大きくなったことで、気管の分泌物が増えて空気が通りにくくなることや、がんそのものの影響で気管支を空気が通りにくくなることが原因です。

 

大きくなったがんが気管支を圧迫してしまい、気管支が狭くなると、発熱や胸の痛みを伴う肺炎を起こすこともあります。また、胸膜、肋骨や神経にまでがんが広がっていることが原因で、胸の痛みを感じることもあります。

 

肺がんの初期症状としてわかりやすい特徴的な症状はありませんが、風邪をひいているわけでもないのに、2週間以上咳と痰が続く、血が混じった痰(血痰)が出る場合など、明らかに普段の風邪とは違った症状の場合は医療機関を受診しましょう。

 

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