元通産省官僚・株式会社二十一世紀新社会システム研究所代表である、本田幸雄氏の著書『劇症型地球温暖化の危機 太陽光エネルギー革命で日本を再生する』より一部を抜粋・再編集し、「失われた30年」と人口問題・年金問題について見ていきます。
どうにもならない年金制度…このままでは「日本はずるずると衰亡する」元官僚が警鐘を鳴らすワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

日本の総人口は「坂を転げるように減っていく」?

日本の少子化はどんどん進んでいます(今や、少子高齢化どころか、無子高齢化社会になろうとしています)。

 

2100年の日本人口は、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計では、4959万人、国連の推計では8447万人となるといいます(いずれも出生・死亡中位推計)。

 

2つの推計で随分大きな違いがありますが、国連の予測に関しては、人口が安定状態になる人口置換水準(日本では現在2.07。すべての女性が2.07人生むと人口は増えも減りもしなくなります)に、将来のある時点で戻るという目標を設定して推計しているといわれています(何もしなければ戻ることはありません。日本は何もしていませんから4959万人の方になるのではないでしょうか)。

 

2100年で4959万人となると、現在の3分の1であり、明治時代の水準であります。明治から150年、いろいろなことがありましたが(第二次世界大戦などの問題もありましたが)、それなりに日本人が作ってきた社会システムが、これではすべて水泡に帰してしまいます。

 

何としても、これをくい止める具体的な方策を打ち出さなければなりませんが、今の政治は何もやりません。今の政治と官僚の不作為にまかせていると、本当に、ずるずると限りなく日本は衰亡してしまいます。

 

中央公論2013年12月号の増田寛也+人口減少問題研究会の『2040年、地方消滅「極点社会」が到来する』は衝撃的でした。地方が消滅する時代がやってくると増田氏は述べていました。

 

人口減少の大波は、まず地方の小規模自治体を襲い、その後、地方全体に急速に広がり、最後は凄まじい勢いで都市部をも飲み込んでいく。このままいけば30年後には、人口の「再生産力」が急激に減少し、いずれ消滅が避けられないような地域が続出する恐れがあると言っていました。

 

都市部も大変です。(以下、東洋経済2014年2月22日号から)日本の人口は、三つの段階を経て減少していくといいます。第一段階は2025年頃までで、後期高齢者が爆発的に増加します(それ以上に若年層が減少するため、全体としては人口減)。それを過ぎると高齢者の人口増加は一服しますが、若年層の減少はさらに進みます。

 

第三段階は2050年以降です。この頃を境に、後期高齢者の数も減り始め、若年層の減少と相まって、総人口は坂を転げるように減っていくということです(すでに、日本は「少子高齢化」ではなく、「無子高齢化」の社会に入りつつあると言われています)。