(※写真はイメージです/PIXTA)

受動喫煙は人体に多大な悪影響をおよぼします。特に小さな子供が受動喫煙をするとさまざまな病気を発症するリスクが大人よりも高くなるほか、妊婦の受動喫煙で早産や流産のリスクが高まると、きづ川クリニック小児科医の米田真紀子氏はいいます。乳幼児が受動喫煙してしまうことの危険性について、詳しくみていきましょう。

親の喫煙が子供におよぼす影響

タバコには毒性があることは広く知られているところだと思いますが、特に子供に対して多大な悪影響があります。小さい子供は自身でタバコを吸うことはほぼないので、問題になるのは大人の吸うタバコの煙を間接的に吸う受動喫煙です。

 

受動喫煙とは

受動喫煙は、主流煙を吸った人の呼気に混じる呼出煙と、燃えているタバコそのものから出ている副流煙の両方を吸うことです。

 

タバコの煙には何千種類ものガスや小粒子が含まれ、何十種類もの有害な発がん物質を含んでいます。副流煙は主流煙よりも毒物の含有量が3~4倍高いです。

 

さらに、子供の場合は大人より呼吸回数が多く、体重あたりの取りこむ毒物量も多くなります。そのうえ、毒物に対する感受性が高く、その後生きる時間も長いため、大人よりもはるかにリスクが高いといえます。

 

「大人が子供から離れた場所で喫煙すれば問題ない」と考える人もいますが、換気扇の近くで喫煙しても煙がじゅうぶんに換気できるわけではありません。たとえベランダで吸ったとしても、タバコの有害物質は服や皮膚・頭髪などに付いて子供に到達し、悪影響をおよぼします。

 

また、最近普及している加温式タバコも、火こそ付けないものの有害物質が出るということに関しては変わらないため、受動喫煙のリスクがなくなるというわけではありません。

 

タバコの3大有害物質として、ニコチン、タール、一酸化炭素が有名です。ニコチンには中毒性があり、いったん中毒を起こすと簡単にはやめられません。タールは有名な発がん物質です。一酸化炭素は血管を傷つけ、動脈硬化を起こす要因となります。

受動喫煙の影響

胎児への影響

妊婦が喫煙または受動喫煙することによって、血液中に有害物質が溶け込むと、胎盤を通過し胎児にまでおよぶことがあります。

 

喫煙により胎盤の血流が悪くなり、胎児に成長障害が出ることがあります。赤ちゃんが十分に成長しきれず2500g以下の低出生体重児として生まれる確率が高まるほか、喫煙者の赤ちゃんの体重は非喫煙者の赤ちゃんと比べて体重や身長が平均して低くなることもわかっています。

 

胎盤の血流不全のために早産や流産のリスクも上がることも指摘されているほか、産まれてくる赤ちゃんの知能指数も低下する可能性があります。

 

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