超過勤務、給料未払い、パワーハラスメント……コンプライアンスが声高らかに叫ばれているなかでも、なくなることのない「ブラック企業」。なかには人知れず、しかし堂々と法律を犯している企業も。みていきましょう。
月収18万円「奴隷のように働いているが…」知らぬ間にブラック企業に勤務、少なすぎた手取り額 (※写真はイメージです/PIXTA)

法律違反で送検…ブラック企業、2020年は887件

総務省『経済センサス活動調査(速報)』によると、2021年6月時点の全国の企業数は367万4000社、民間事業所数は507万8000ヵ所。これだけの企業があるのですから、いわゆる「ブラック企業」が存在するのも当たり前かもしれません。

 

よく知られた「ブラック企業」ですが、厚生労働省のホームページでは以下のような記載があります。

 

「ブラック企業」ってどんな会社なの?

厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。

 

出所:厚生労働省ホームページ『確かめよう労働条件』

 

さらに厚生労働省では、社会全体で「過労死等ゼロ」を目指す取組みの一環として、『労働基準関係法令違反に係る公表事案』として、送検事案*1と局長指導事案*2をホームページ上で公表しています。

 

*1:労働基準関係法令違反の疑いで送検し、公表した事案

*2:平成29年1月20日付け基発0120第1号「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について」に基づき、局長が企業の経営トップに対し指導し、その旨を公表した事案

 

厚生労働省『令和2年 労働基準監督年報』によると、2020年の送検事案は887件。そのうち労働基準法違反が374件、労働安全衛生法違反が505件、最低賃金法違反が7件、じん肺法違反が1件でした。

 

労働基準法違反で最多は「労働基準法24条/最低賃金法4条」の違反で227件。「労働者X人に、Xヵ月間の定期賃金合計XX万円を支払わなかった」「労働者X人に、XX県最低賃金以上の賃金を支払わなかった」といった賃金の支払いに関するものです。

 

労働基準法第24条(賃金の支払)

1「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」

2「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。」

 

最低賃金法4条(最低賃金の効力)
1「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。」

 

次に多かったのが「労働基準法32条」違反で58件。「労働者X名に、36協定の締結・届出なく、違法な時間外労働を行わせた」といった、労働時間に関するものです。

 

労働基準法32条(労働時間)
1「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」
2「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」