2年目は投資信託を開始…着実な積み立てで驚きの貯蓄額に
こうすることで1年目は無事に手取りの2割を貯蓄できましたが、「貯蓄しているだけだともったいない」と思ったAさんは、当時話題になっていたネット証券を開設し、月々の貯蓄を投資信託で積み立てることにしました。
リーマンショック後で株式相場は低迷しており、リスクを抑えたかったため国民年金の運用をしているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と同じような「バランス型」の投資信託を選びました。
こうして着実に積み立てを実行したところ、1年目の貯蓄は1年経っても108万円のままでしたが、2年目は108万円が110万円に増えていました。
これに味をしめたAさんは「リスクを抑えたバランス型でこれだけ増えるなら、もっとリスクをとってもいいかもしれない」と、3年目は株式型の投資信託で積み立てを始めました。
当時はアベノミクスが始まったころだったため、その後も順調に投資した資産は増えていきました。途中、チャイナショックやコロナショックがあったものの、すでに投資信託で貯蓄が増える体験を積んでいたAさんは相場を気にすることなく、現在まで手取りの2割を投資し続けています。
結果的には、1年目の貯蓄は10年後もそのまま108万円、2年目のバランス型ファンドは108万円がその後150万円に、3年目以降は株式型ファンドに投資をして、積立額864万円が1,198万円に増えました。
これらすべてを合計すると「1,456万円」となります。これは30代の平均貯蓄額の約4倍、中央値の約19倍もの金額です。
Aさんの成功要因は「ほったらかし」と「小さな喜び」
Aさんの場合は、「ほったらかし」にできる投資信託を選択することで手間がかからなかった点と、最初に始めたバランス型ファンドで「投資したお金が増える」体験ができたことが積み立てを継続できたポイントでした。
投資を始めてすぐにお金がマイナスになってしまうと不安になり、途中で解約してしまう方が多いです。最初は少額からリスクの低い投資でスタートし、慣れてきたころ必要があれば金額を増やし、リスクを少しずつとっていくようにするといいでしょう。
このように、独身のままであればライフイベント等による支出の大きな変化がなく、資産形成は比較的スムーズに続けることができます。ただし、実際には結婚や出産等により、都度収支バランスを変更せざるを得ない状況が訪れることが多いです。
しかし、そこで諦めて『資産形成を止める』のではなく、月々1万円からでも『資産形成を続ける』ことが重要です。もしも収支バランスの把握や資産形成で悩みがあれば、1度ファイナンシャル・プランナーに相談してみることをおすすめします。
武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役