平均寿命は80歳を超え、世界有数の長寿国である日本。そのなかで「生きがいとして」「社会参加として」、積極的に働く高齢者が増えています。仕事によって活力を得られるなど、ポジティブなイメージが強くありますが、一方で「働きたいわけではない」という、ネガティブな高齢者も。みていきましょう。
手取り「わずか月8万円」死ぬまで働き続ける…「70代アルバイト」が背負う地獄 (※写真はイメージです/PIXTA)

手取り、わずか月8万円…生きるために働き続ける70代アルバイト

総務省『労働力調査』によると、2021年、働いている70代は438万人。高齢者人口が増えていることもあり、上昇傾向。70代人口は1,600万人ほどなので、70代の4人に1人は働いています。さらに前出の世論調査から推測すると、およそ150万の70代が「お金」を理由に働いていることになります。

 

70代の就業者、会社役員や正社員、契約社員……好待遇で現役続行という人も珍しくありませんが、すべての高齢者がそのような環境で働けるわけではありません。そういった場合、パートやアルバイトが受け皿のひとつとなるでしょう。

 

70代でアルバイト……どれほどの収入を得ているのでしょうか。厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、70代・短時間労働者(常用)の平均月給は推定10万7,874円(1日当たりの所定内実労働時間5.0時間、実労働日数15. 6日)。手取りで8万円ほどです。幾ばくかの手当を合わせると、年収で132万円ほどになります。

 

年金だけでは足りないから、アルバイト代を足しにして……そのような場合はまだいいでしょう。年金はほとんど当てにならない、という場合、手取り8万円では毎月の生活だけで精いっぱい、将来を見据えて貯蓄というのもままならず、アルバイトを辞めるに辞められないという状況に陥っていると考えられます。

 

昨今は70代といっても元気で、生き生きと働く人が増えています。「生きがい」や「社会の一員」として、積極的にパートやアルバイトで働くことを望んでいる高齢者も多いでしょう。しかしアルバイト代が生活のすべてというケースも。

 

——生きるために、死ぬまで働かざるを得ない

 

なんとも厳しい状況の高齢者も大勢いる、それが超高齢化社会にある日本の実情といえるのです。