(※写真はイメージです/PIXTA)

たびたびニュースになる「くも膜下出血」。かかってしまうと即座に命を落としてしまうイメージが強いものの、普段「頭が痛い」と思っても「まあ大丈夫だろう」と放っておく人も多いでしょう。今回、森山記念病院の松尾成吾院長が、若くしてくも膜下出血で命を落とした4人のケースをみながら、くも膜下出血を疑うべきサインや最新の治療法を解説します。

くも膜下出血の症状…出血量により「千差万別」

くも膜下出血の症状は、出血量で左右されます。少量のみの出血の方は、本当に「あれ、なんだか変だな」程度で歩いて来院される方もおりますし、教科書的に「いままで経験したことのないような、バットで殴られたような強烈な頭痛」で倒れる方、瞬時に瞳孔が散瞳し昏睡状態に陥ってしまう方まで、千差万別です。

 

なかには本格的な出血の前兆として「警告頭痛」のような症状の人もいるため、気になった場合にはぜひMRIでの、さらに可能であれば高性能機での検査をおすすめします。「脳ドック」という方法もありますが、頭痛精査が目的であればドック検査でなくても検査はいつでも可能です。気軽に脳神経外科を受診してください。

くも膜下出血は「切らずに」治せる

くも膜下出血を発症し来院され、脳動脈瘤が同定された場合には、以前は開頭手術のみが治療法でしたが、最近は“切らないで治す”血管内治療が主流となってきています。脳動脈瘤のところをコイルで詰めて治療するわけです。

 

この方法なら見た目にもスマートで、顔が腫れることもありませんし、長年経過し開頭部分が陥没してきて美容上問題となるようなこともありません。血管内治療の変遷もみて参りましたが、治療が開始されたころとは本当に成績が雲泥の差です。

 

未破裂の脳動脈瘤に対する成績も非常に安定してきました。日本への導入は遅れましたが、図表4のように非常に治療が難しかった大型動脈瘤に対しても、目の細かなステントやフローダイバーター(FD)を置いて脳動脈瘤が消失させてしまうということも可能になってきました。

 

ありがとうございます。
[図表3]脳動脈瘤コイリング術前後

 

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[図表4]最新のFlow diverterによる難しい大型の内頚動脈瘤の手術前後

 

血管内治療の進歩は、心臓・循環器系と同様に日進月歩の進化を遂げています。日本では、脳卒中のなかでもくも膜下出血〜脳動脈瘤の治療に対しては脳神経外科が主体となって治療にあたっています。

 

CTやMRI、脳血管撮影装置などの診断機器の向上、そして治療法の進化には目を見張るものがありますので、気になる頭痛があったり、ご家族にくも膜下出血の既往歴などがありましたら、積極的に専門外来を受診してください。

 

検査は決して痛くありません。ただMRIの台に乗るだけで、あなたの命が救われることもあり得るのです。木村拓也選手のようなケースが繰り返されぬことを、筆者は祈っています。

 

 

松尾 成吾

森山記念病院 院長

脳神経外科部長

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。