国が教育にお金を出す国、教育にお金を出さない国…明るい未来はどららに?
幼稚園から大学まで、ストレートで、しかも国公立だとしても800万円ほどの教育費。これは生活が苦しいからといって、そうそう節約できるものではなく、ローンを利用してでもなんとか捻出しようとするもの。奨学金を活用して、子どもに負担をお願いするケースも珍しくはありません。
所得により制限はあるものの、高校の無償化が進み、教育費の家庭負担は軽減される方向にあります。ただその恩恵をすべてが受けられるわけではなく、「教育費が高い!」という不満はなかなか払拭されません。「もっと国が教育に力を入れてくれたら……」といったため息も聞こえてきます。
UNESCOの資料で公的教育費のGDP比率をみていくと、主要国(OECD加盟国)で最も割合が大きいのは「デンマーク」で7.7%。「ノルウェー」「スウェーデン」「アイスランド」と、北欧の国が上位を占めます。一方で「日本」は対象36ヵ国中36番目で3.1%です。
【世界主要国「公的教育費GDP比率」】
1位「デンマーク」7.75%*3
2位「ノルウェー」7.64%*2
3位「スウェーデン」7.64%*2
4位「アイスランド」7.57%*2
5位「コスタリカ」6.81%*1
6位「ベルギー」6.38%*2
7位「フィンランド」6.27%*2
8位「イスラエル」6.16%*2
9位「ニュージーランド」6.05%*2
10位「チリ」5.43%*2
出所:UNESCO
※OECD加盟国を抜粋順位付、*1:2019年、*2:2018年、*3:2017年数値
日本は、世界でも「教育にお金をかけない国」のひとつだといえますが、これは「満足度」にも表れています。OECDによる「教育制度への市民満足度」(2021年)をみてみると、トップは「ノルウェー」で89%、「フィンランド」85%、「アイスランド」84%と、北欧の国が上位を占めるなか、「日本」は対象38ヵ国中27位で60%。平均値以下という結果は、「教育費の家計負担が大きい」ということも一因にあると考えられます。
世界でもいち早く高齢化が進み、その対策が急務な日本。若者の教育ばかりにお金をかけるわけにはいかないという事情もあるでしょう。ただ「教育にお金を出す余力のない国」では、明るい未来を描くことはできません。昨今、わたしたちを包み込む閉塞感に停滞感。その元凶は、こんなところにもあるのかもしれません。