年金の給付金額を調整する「マクロ経済スライド」のワナ
「マクロ経済スライド」とは、その時々の社会情勢にあわせて、年金の給付水準を調整する仕組みのことです。そもそも年金額は賃金や物価によって調整されるのですが、それに対して「スライド調整率」を差し引くことで待ったをかけます。
たとえば、賃金や物価が2%上昇したとしても、スライド調整率1%だと、差し引きとして年金は1%しか上がりません。もちろん制度維持のための仕組みではあるのですが、その結果として物価が上がっても、年金の上昇が抑えられてしまうのです。
物価高は生活のいたるところに影響をおよぼしており、せっかく限られた費用を切り詰めても、その工夫を反故にしてしまう恐れがあります。さらに、もしここで高齢に伴う医療費や介護費が突発的に生じると、それこそ資産が破綻する可能性が強くなります。
核家族化のいま、「子どもの世話にはなりたくない」という価値観が定着しつつあるため、問題が生じても相談しにくい環境が強まっています。こうして、いわゆる「老後破綻」に陥ってしまうのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。少なくともお金の面で「健やかに」「自分らしく」生活できるように、いまからなにができるかを考えていきましょう。
ただし、そのためには準備が必要です。目の前のことに対応しつつ、将来のことを準備するならば、ライフプランのシミュレーションを作成し、今後の人生を俯瞰してみることをおすすめします。
中井 康寛
FP Office
ファイナンシャル・プランナー