仕事に子育てに忙しい現役世代のお金の悩みといえば、やはり「教育費」や「住宅費」がメインになってしまうもの。しかし、FP Officeの中井康寛氏は「この世代こそ老後を意識しておかないと、悲惨な未来が待っている」といいます。今回、年収500万円のサラリーマン世帯のケースから、無対策で老後を迎えた場合の過酷すぎる現実と、早いうちからできる対策をみていきます。
年収500万円の会社員…夫婦の年金受取額に悲鳴「これじゃ暮らせない!」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金の給付金額を調整する「マクロ経済スライド」のワナ

「マクロ経済スライド」とは、その時々の社会情勢にあわせて、年金の給付水準を調整する仕組みのことです。そもそも年金額は賃金や物価によって調整されるのですが、それに対して「スライド調整率」を差し引くことで待ったをかけます。

 

たとえば、賃金や物価が2%上昇したとしても、スライド調整率1%だと、差し引きとして年金は1%しか上がりません。もちろん制度維持のための仕組みではあるのですが、その結果として物価が上がっても、年金の上昇が抑えられてしまうのです。

 

物価高は生活のいたるところに影響をおよぼしており、せっかく限られた費用を切り詰めても、その工夫を反故にしてしまう恐れがあります。さらに、もしここで高齢に伴う医療費や介護費が突発的に生じると、それこそ資産が破綻する可能性が強くなります。

 

核家族化のいま、「子どもの世話にはなりたくない」という価値観が定着しつつあるため、問題が生じても相談しにくい環境が強まっています。こうして、いわゆる「老後破綻」に陥ってしまうのです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。少なくともお金の面で「健やかに」「自分らしく」生活できるように、いまからなにができるかを考えていきましょう。

 

ただし、そのためには準備が必要です。目の前のことに対応しつつ、将来のことを準備するならば、ライフプランのシミュレーションを作成し、今後の人生を俯瞰してみることをおすすめします。

 

 

中井 康寛

FP Office

ファイナンシャル・プランナー