(※写真はイメージです/PIXTA)

超高齢社会の進行とともに日々注目が集まる認知症。人間関係のストレスは現代人の大きな悩みですが、それは認知症の方でも同様です。お互いにストレスを溜めないためには、どのように接していけばいいのでしょうか。本記事では、MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長の山本康博氏が、認知症の人と接するときに気をつけるべきポイントを解説します。

本人の自尊心を守る…認知症の人と接する際の原則

認知症の人と接するとき、本人と周囲の両方が辛くならないようにするためには、以下4つのポイントに気をつけることが大切です。

 

1.認知症状による失敗は「脳の病気だから」と受け入れる
2.お互いが嫌な気持ちになるのを防ぐためにも、失敗を怒らない
3.本人の自信や自己肯定感を守るため、できるだけ生活を変えず仕事を奪わない
4.継続的に専門家のサポートを受けられるよう、通院のクセをつけさせる

 

認知症は病気を自覚しにくく、記憶障害も現れるため、できていたことができなくなったり、怒られていてもその理由を忘れてしまったりすることがめずらしくありません。この4つのポイントを念頭に置きながら、認知症の本人の自尊心をできるだけ守るかたちで、かつ自身が苦しくならないように接することが大切です。

「ごはんまだ?」「財布を盗まれた!」…状況別対処法

代表的な認知症状である「物忘れ」、「妄想」、「見当識障害」、「人物誤認」、「徘徊」、「幻覚」、「性格変化」、「問題行動」への対処法をご紹介します。

 

「食事を食べていない、ごはんまだ?」などの物忘れ

食べたかどうかの事実はともかく、本人に納得してもらえるよう対処するのが正解です。「いま作っているからね」「手伝ってほしいときに呼ぶから、ちょっと待っていて」などの言葉をかけて、待たせているあいだに興味を食事から反らしてしまいましょう

 

また、どうしても口さみしいようなら本人の好きな果物や軽食を用意して「もうすぐできるから食べて待っていて」と言い、納得させてあげてくださいね。

 

「財布を盗まれた」などの妄想や妄言

認知症の人は自分でどこかにしまい込んだことを忘れて、「盗まれたに違いない」と思い込むことがよくあります。このような場合、決して「そんなはずない」などと否定せず、「困ったね、一緒に探そうね」と声をかけ、一緒に探しましょう

 

「今日が何日かわからない」などの見当識障害

自分のいる時間、場所がわからないために不安になり、日付を何度も聞いてしまう見当識障害も、認知症の人によくみられる症状です。「さっきも言ったでしょ!」などと冷たい態度を取ると悲しい思いをさせてしまうので、大きめの日めくりカレンダーなどを用意しておき、一緒に確認しましょう

 

「知らない人だ、あなたは誰?」などの人物誤認

認知症では新しい記憶から失われていくため、一緒に暮らしている家族の顔がわからず、判別できなくなることもあります。ショックだと思いますが、否定して言い返すと興奮させてしまうため、いったん姿を消すのがおすすめです。本人が落ち着いたら再び現れ「初めまして」「いま帰りました、○○です」などと、挨拶して認識してもらいましょう。

 

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