近年注目されている、夫婦共働きでともに高収入を得ている「パワーカップル」。生活に不自由なく充実した人生を送れそうですが、収支を詳しく紐解いていくと、「老後破産」の可能性がみえてきました。FP Officeの景山一輝氏が、一般的な「収入の8割を消費に回す夫婦」を例に、老後残るお金を徹底シミュレーションしていきます。
世帯年収2,000万円の「勝ち組夫婦」…誰もが羨む贅沢生活から一転、老後破産の危機 (※画像はイメージです/PIXTA)

「パワーカップル」の定義

ジムやエステに通って健康的な肉体を維持し、週末にはお気に入りのレストランやバーで優雅な食事を楽しみ、たまの長期休暇ではリゾートで余暇を過ごす……そんな充実した日々を送る高収入の夫婦。

 

全力でセカンドライフを楽しもうと退職後もその生活水準を落とせず、むしろリタイアメント後という「毎日がホリデイ」な有り余る時間と一時的に入った大金(退職金)も相まって、現役中にはできなかった長期の海外渡航を繰り返し、気づいたときには自由に使えるお金は2ヵ月に1度入ってくる年金のみで、いままでの生活にかかる維持費を払うことができず、自宅の売却を考える……。この恐ろしい未来は、決して他人事ではありません。

 

そもそもパワーカップルとは、どんな2人のことを指すのでしょうか。近年メディアで取り上げられるようになった言葉のため明確な定義はありませんが、「夫婦ともに高所得(世帯年収で1,000万円超)」というのが目安のようです。ただ、この条件を満たす世帯のなかでも大きな格差があります。

 

単純に世帯年収1,000万円と1億円では、生活環境も抱える問題も異なります。世帯収入額が同じだとしても、いわゆる『DINKS』と称される共働きで子供を持たない夫婦と、子供を持ち小中学校のころから私立に入学させる教育熱心な夫婦では、貯蓄可能な金額も大きく変わってきます。