住宅ローン選びの1つの重要な要素として「変動金利か固定金利か」という選択がありますが、初めて家を買う場合、どのような基準で選べばいいかわからないという人も多いでしょう。そのようなとき、どうしても目先の返済額に捉われてしまいがちですが、どの金利にもそれぞれメリット・デメリットがあります。それぞれの金利の特徴について、FP Office代表取締役の中村達矢氏が詳しく解説します。
住宅ローン金利は「変動・固定」の2択じゃない…知らないと損する「3つ」の選択肢

「住宅ローンは変動金利と固定金利どちらがいいか?」

家を購入するときに検討する重要な項目として住宅ローンがあるが、ほとんどの方は初めて検討するため、どのように選ぶべきかがわからず、相談に来られる方は多い。そして、一番多い質問が掲題の質問になる。

 

異次元の低金利が続いている現状においても、やはり変動と固定では金利差が一定以上あり、総返済額や総支払利息は大きな差を生むので、やはり賢明な選択をすべきなのは間違いない(※住宅ローンには金利以外にも保証料や手数料も選ぶうえで大事なポイントになるが、今回は金利のみ言及している)。

 

多くの方が住宅ローンを選ぶときに変動か固定かの2択で考えがちだが、固定金利が大きく2つに分けることができることから、3択で考えるべきであろう。 ① 変動金利 ② 1年~10年の短期間固定 ③ 20年~35年の長期間(全期間)固定 という選択肢である。 後程述べるが②と③では大きな違いがある。

 

そして、さらに大事なテーマで3択があることも理解しておく必要がある。それは住宅ローン用語の「優遇金利」についてである。

 

銀行のローン金利はバブル崩壊以降ずっと下降傾向にあるが、いわゆる「店頭金利」という銀行の変動金利の基準金利は2009年以降2.475%で動いておらず、1995年まで遡って25年間でみても2.475%~2.875%程度の幅でしか動いていない。

 

それでも実際に直近の変動金利で住宅ローンを組むと0.4~0.7%になるのは、どの銀行も「優遇金利」という形で一定の優遇幅で金利を下げているからである。銀行のHPを見て頂ければ、その仕組みは自体は理解しやすいはずである。

 

問題はその入口の優遇「幅」が「いつまで」続くか、という点になる。

 

A)あらかじめ決められた時期に優遇期間が終わり、その時点で見直される場合

B)あらかじめ決められた時期にあらかじめ決められた優遇幅に縮小(金利は上昇)する場合

C)全期間決められた優遇幅が約束されている場合がある。

 

上記の3択×2を理解して頂いた上で、それぞれの特徴から考えていきたい。