「平均以上だからよかった!」「平均まであと少し……」。何かと基準になれがちな平均値。会社員であれば、意識するのが平均給与でしょう。ただ日本人の給与をみていくと、イメージよりもずいぶんと低収入であることが分かりました。みていきましょう。
平均手取り25万円だったが…4割が「年収300万円以下」貧困にあえぐ日本人の悲痛 (※写真はイメージです/PIXTA)

国民の多くが低収入…最低賃金引き上げで格差是正なるか?

平均値では「意外とみんなもらっている」という給与も、その分布をみていくと、多くの人が低収入で頑張っている姿が見えてきました。

 

そんななか、労使の代表らが参加する中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)小委員会で、最低賃金の引き上げの議論が白熱しています。ロシアのウクライナ侵攻や急激な円安の影響から物価高騰が私たちの生活に影を落としていますから、なんとか大きく引き上げてほしい、というのが労働者側の声。一方、中小企業の経営はどこもひっ迫していますから、なんとか最小限に留めたいというのが企業側の声でしょうか。

 

OECDの資料によると、日本の最低賃金水準(フルタイム従業員の平均賃金:中央値を100とした場合の法定最低賃金の比率)は、調査国31ヵ国中27位。国によって平均賃金の対象や定義、法定最低賃金の制度などが異なるため、単純に比較するには注意が必要ですが、日本は給与格差が大きな国であるといえます。

 

【世界主要国「最低賃金水準」上位10】

1位「コロンビア」92.31%

2位「チリ」72.31%

3位「コスタリカ」71.10%

4位「トルコ」68.98%

5位「ポルトガル」65.12%

6位「ニュージーランド」64.65%

7位「韓国」62.45%

8位「フランス」61.19%

9位「スロベニア」58.81%

10位「イギリス」57.60%

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27位「日本」45.17%

出所:OECD(2020年)

 

格差是正のためにも、最低賃金の引き上げ、さらに賃金全体の引き上げを、なんとかお願いしたい、それでなければ、この急激な物価高、とても暮らしていけない。労働者の悲痛が聞こえてきます。