変形性関節症は新たな国民病…万が一に備えて
高齢化が進むにつれて、日本における変形性股関節症の患者数は年々増加しています。潜在的な変形性股関節症の患者を含めれば、さらに多くなるでしょう。
もしも、変形性股関節症の手術が必要になったら……と不安に思うのであれば、健康なうちに、知識を備えておくことはとても大切です。いったい、どのような基準で病院を選び、治療を進めたらよいのでしょうか。
医師選びの基準は「手術実績」と「手術時間」
変形性股関節症の手術は、決してまれなものではありません。その一方、急速に術式が進化しており、特にここ数年は患者数の急増に伴い、新しく侵襲が少ない術式がどんどん開発されています。
患者さんにとっては、術式を細かく理解することは難しいかもしれませんし、医師の技量を見極めるのも困難かもしれません。しかし、医師選びは手術の成否を分ける大事な一歩。同じ病院でも、医師によって手術の精度は大きく異なる場合もあるでしょう。
もし、変形性股関節症の手術を行うことになった場合、医師を選ぶときになにを考慮したらよいのでしょうか。
1つめは、手術実績です。単純に数字だけを比較するのではなく、「前方」「前外側」「後方」など、「どの術式で、どれくらい手術を行っているか」も確かめましょう。医療機関のウェブサイトや広報誌などで確認できる場合があります。
また、手術時間も医師を選ぶ際の大きな目安。いってみれば、手術時間は医師の習熟度を示す大きな基準となり、手術時間は患者さんの体に対する負荷を考慮すると、短いにこしたことはありません。手術時間も確認しましょう。
手術がうまい医師ほど、入念に準備する
最後に、手術を行う前にどれだけ丁寧に準備をするかということも、手術の成否を分ける大きなポイントです。
手術の前には、さまざまな準備が必要です。人工股関節にはいろいろなタイプが存在するため、症例によって最適なインプラントを選択しなければなりませんし、術式も1人ひとりに合わせて考えなければなりません。
また、患者さんの年齢やライフスタイル、職業、趣味なども把握し、さらに「術後、やりたいこと(スポーツ、屋外活動)」などもしっかりヒアリングしたうえで、それを叶えるために必要な手術を行わなければなりません。
現在では、「3分診療」という言葉もあるとおり、「受付で散々待たされたのに、診察はわずか3分だった」ということも少なくありません。しかしそれでは、本当に満足度の高い手術を行うことは不可能です。
患者さんの悩みや希望を丁寧にヒアリングし、決して手術を無理強いせず、患者さんの気持ちに寄り添ってくれる医師を選ぶことをおすすめします。
変形性股関節症は決して珍しい病気ではありませんが、いざ手術となると、不安に感じたり、怖くなったりする人も多いかもしれません。しかし、現在は手術の術式も非常に洗練され、人工股関節のクオリティも大きく向上しています。股関節の悩みを解消し、満足のいく生活を謳歌するためにも、1度、専門医に相談してみるとよいでしょう。
塗山 正宏
世田谷人工関節・脊椎クリニック
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