東京都心では、マンション価格がバブル超え。いまだかつてないほどマイホーム購入へのハードルは高くなっていますが、それでもせっかく買うなら納得いく街に家を持ちたいと考える人は多いでしょう。いま、会社員が買える街……今回は、日本の高級住宅街の代名詞「田園調布」に焦点をあてます。
手取り31万円…30代大卒サラリーマン「田園調布」に家を買う【シミュレーション】 (※写真はイメージです/PIXTA)

普通のサラリーマンが「田園調布」にこだわってマイホームを探したら…

そんな田園調布ですが、高級住宅街というブランドはもちろん、利便性の面でも魅力的なエリアです。「田園調布」は東急電鉄東横線と目黒線が乗り入れている駅で、「渋谷」や「新宿」はもちろん都心方面にもダイレクトにアクセスできるのがポイント。通勤にも通学にも便利な立地です。また駅上部や駅東側に商店街が存在するので、日常品程度であれば、駅周辺で揃えることができます。

 

また「田園調布アドレス」のすべてが、「田園調布=高級住宅街」ではありません。田園調布は駅東側の1〜2丁目、西側の3〜5丁目があり、「田園調布憲章」で色々と制限されるのは、駅西側の田園調布3〜4丁目にかけてのこと。その周辺も瀟洒な雰囲気は漂いますが、一般人でも居住を検討できるエリアが広がります。

 

国土交通省『土地総合情報システム』で過去2年間の田園調布での不動産取引の状況をみてみると、さすが日本有数の高級住宅街、億を超える数字が並びます。ただ田園調布アドレス+最寄り駅「田園調布」でも、駅徒歩15分を超えたエリアには、土地+建物で5,000万~8,000万円の戸建てもチラホラ。

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、大卒正社員、30代後半のサラリーマンの平均月収は41万1,700円、手取りにすると31万円ほどで、推定年収は625万円。そんなごく平均的なサラリーマンが田園調布に家を買ったら、を考えていきます。

 

年収に対する返済負担率は、無理のない範囲である25%(月返済額13万0,200円)と設定。年利1%、30年返済として考えると、借入可能額は4,000万円ほどになります。平均的な頭金を用意するとすると、5,000万~6,000万円程度の戸建てであれば、現実的な返済プランといえるでしょう。過去2年間の不動産取引の中にも、予算内のものが5件ほどヒットしました。一般人でも田園調布アドレスにこだわることは可能だといえるでしょう。

 

もちろん、これらの物件は建築年から推測するに、相続などで売りに出された土地を、2~3分割にして売りに出された戸建て。いわゆる「田園調布の邸宅」ではありません。

 

また「戸建てでなく、マンションがいい」となると、田園調布アドレスはハードルが高くなりそう。中古マンションの取引状況をみていくと、田園調布アドレス、かつ最寄り駅「田園調布」にこだわると、直近2年間の取引は3件で、しかも価格は億超え。唯一、5,600万円という物件がありましたが、こちら競売物件という特殊なものでした。田園調布アドレスのマンションは、ほとんどがブランドマンション。中古であっても手が届きにくい価格であることが一般的のようです。