金持ちの保有資産を細かくみていくと…
金融資産だけに注目してみてきましたが、資産のほとんどが不動産、というケースもあります。そこで総務省『家計構造調査』(2019年)で、全世帯の1世帯当たりの家計資産額(住宅・宅地資産に純金融資産を加えた資産)をみていくと、平均資産額は3,900万円。
年間収入十分位階級別に比べていくと、第Ⅰ階級(年間収入212万円)が2,434万円、第Ⅴ階級(年間収入557万円)が3,369万円、第Ⅹ階級(年間収入1,668万円)が8,161万円となり、収入が高くなるほど、家計資産額も大きくなる傾向にあります。
【年間収入による10区分別「資産額」】
Ⅰ)212万円/2,434万円/706万円/1,639万円
Ⅱ)334万円/2,849万円/ 962万円/1,778万円
Ⅲ)407万円/3,271万円/1,054万円/2,089万円
Ⅳ)480万円/3,334万円/835万円/2,360万円
Ⅴ)557万円/3,369万円/801万円/2,417万円
Ⅵ)641万円/3,307万円/639万円/2,503万円
Ⅶ)742万円/3,518万円/679万円/2,664万円
Ⅷ)869万円/3,887万円/789万円/2,907万円
Ⅸ)1,053万円/4,873万円/1,177万円/3,489万円
Ⅹ)1,668万円/8,161万円/1,861万円/6,008万円
出所:総務省『家計構造調査』(2019年)
※数値左より、年間収入、資産合計、金融資産、住宅・宅地資産
また所得階級間格差をみていくと、第Ⅰ階級と第Ⅹ階級の間には、3.4倍の差が生じています。さらに細かく見ていくと、金融資産は2.6倍に対し、住宅・宅地資産は3.6倍。階級があがると金融資産も増えるとは一概にいえないのに対し、住宅・宅地資産は増える傾向にあります。
また、住宅・宅地資産について現住居・現住居以外別にみると、現住居の資産では2.7 倍に対し、現住居以外の資産では8.8倍に。金持ちほど自宅以外の不動産を保有し、家賃・地代により財を得ている傾向が強まり、さらに上位5%、上位1%になるにつれて、家賃・地代の割合は上昇していきます。
つまり、金持ちになりたいなら「(自宅以外に)不動産を保有すること」が近道であり、ある意味、絶対条件といえるのです。
もちろん不動産を保有すれば、誰もが金持ちになれるわけではなく、そこにはリスクも伴います。そのリスクを許容できるかどうか……金持ちになれるかなれないかの、分かれ道といえそうです。