(※写真はイメージです/PIXTA)

世界的に感染が広がる「サル痘」……7月25日には国内でも初の感染例が報告されました。自然宿主がいまだ特定されていないなど、まだ謎の多いこの症例。いったいどのような病気で、またどのような対処法が有効とされているのでしょうか。米ハーバードメディカルスクールの関連研究所「ダナ・ファーバー癌研究所」で研究員として勤務する、医学博士の郭悠氏が解説します。

動物実験によって有効性が示されている治療薬もある

熱や頭痛などの痛み、発疹の症状軽減や、二次感染や合併症予防、後遺症予防のための対症療法が中心となります。

 

シドフォビルはサイトメガロウイルスの治療などに海外で使用されている抗ウイルス薬であり、動物実験でサル痘への有効性が確認されています。韓国では国内初報告を受けてシドフォビルの流通体制の整備に取り掛かったようです。

 

また、シドフォビルの誘導体であるBrincidofovirも動物実験での有効性が示されています。天然痘治療薬として開発されたTecovirimatは動物実験や臨床試験の結果より2022年にthe European Medicines Agency (EMA)の治療薬として承認されました。日本では未承認ですが、国立国際医療研究センターで特定臨床研究が始められました。

日本でのワクチン接種は行われていない

天然痘ワクチンはサル痘に対しても約85%の有効性を示すという報告もあります。第一世代の天然痘ワクチンは利用できなくなっており、代わりに弱毒化ワクシニアワクチンがサル痘予防での使用で2019年に承認を受けています。

 

ただし、利用できる地域は限定的です。このワクシニアワクチンをもとにした天然痘ワクチンやサル痘ワクチンも開発されています。

 

1976年以降日本では天然痘ワクチン接種は行われておらず、政府は患者の濃厚接触者となった家族らやリスクの高い医療従事者に対して天然痘ワクチンを接種させることを想定した特定臨床研究を検討していますが、サル痘の致死率が低いことやワクチンの副作用に対して懸念の声もきかれます。

 

まとめ

今回は現在世界中で発症が増加しているサル痘の症状、治療についてお話ししました。SARSーCOVー2と同様に、サル痘も致死率が低くなった分、感染率が上がり、さらにヒトからヒトへ感染を起こすようにウイルスが進化したことがアウトブレイクの要因と考えられます。

 

予防に関しての考え方も呼吸器感染症であるCOVIDー19に比べマスクの重要性は低いですが、接触リスクに関しては同様の対応が大事となります。

 

 

郭 悠

ダナ・ファーバー癌研究所

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。