動物実験によって有効性が示されている治療薬もある
熱や頭痛などの痛み、発疹の症状軽減や、二次感染や合併症予防、後遺症予防のための対症療法が中心となります。
シドフォビルはサイトメガロウイルスの治療などに海外で使用されている抗ウイルス薬であり、動物実験でサル痘への有効性が確認されています。韓国では国内初報告を受けてシドフォビルの流通体制の整備に取り掛かったようです。
また、シドフォビルの誘導体であるBrincidofovirも動物実験での有効性が示されています。天然痘治療薬として開発されたTecovirimatは動物実験や臨床試験の結果より2022年にthe European Medicines Agency (EMA)の治療薬として承認されました。日本では未承認ですが、国立国際医療研究センターで特定臨床研究が始められました。
日本でのワクチン接種は行われていない
天然痘ワクチンはサル痘に対しても約85%の有効性を示すという報告もあります。第一世代の天然痘ワクチンは利用できなくなっており、代わりに弱毒化ワクシニアワクチンがサル痘予防での使用で2019年に承認を受けています。
ただし、利用できる地域は限定的です。このワクシニアワクチンをもとにした天然痘ワクチンやサル痘ワクチンも開発されています。
1976年以降日本では天然痘ワクチン接種は行われておらず、政府は患者の濃厚接触者となった家族らやリスクの高い医療従事者に対して天然痘ワクチンを接種させることを想定した特定臨床研究を検討していますが、サル痘の致死率が低いことやワクチンの副作用に対して懸念の声もきかれます。
まとめ
今回は現在世界中で発症が増加しているサル痘の症状、治療についてお話ししました。SARSーCOVー2と同様に、サル痘も致死率が低くなった分、感染率が上がり、さらにヒトからヒトへ感染を起こすようにウイルスが進化したことがアウトブレイクの要因と考えられます。
予防に関しての考え方も呼吸器感染症であるCOVIDー19に比べマスクの重要性は低いですが、接触リスクに関しては同様の対応が大事となります。
郭 悠
ダナ・ファーバー癌研究所
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