(※写真はイメージです/PIXTA)

世界的に感染が広がる「サル痘」……7月25日には国内でも初の感染例が報告されました。自然宿主がいまだ特定されていないなど、まだ謎の多いこの症例。いったいどのような病気で、またどのような対処法が有効とされているのでしょうか。米ハーバードメディカルスクールの関連研究所「ダナ・ファーバー癌研究所」で研究員として勤務する、医学博士の郭悠氏が解説します。

近年発症例が増加している「サル痘」

サル痘という名前からサルが感染する病気に思われますが、1958年に実験用のサルのなかで天然痘様の症状をきたす2つのアウトブレイクを起こしたことに由来します。

 

ヒトでは1970年にコンゴ共和国の9ヵ月の男児の症例が初の報告例で、その後は西~中央アフリカで風土病として定着し、これまで同地域でのアウトブレイクが散発していました。

 

実際にはリスやネズミ、ヤマネなどのげっ歯類が宿主(保有動物)と考えられており、2003年にはアメリカでペットとして輸入されたプレーリードッグを介して初めてのアフリカ国外での70例のアウトブレイクが起きています。

 

近年では2018年9月にイスラエル、2019年12月~2022年5月にイギリス、2019年5月にシンガポール、2021年7月と11月にアメリカでそれぞれ発症例が報告されています。

 

そして、2022年1月から6月22日までに世界中で死亡例1例を含む3413例が報告され、5月からはこれまで発症例が報告されていなかった世界中の地域での報告例が増加し、アメリカでも7月15日現在までに490例が報告されています。

 

こうしたことからサル痘は世界中から注目されており、韓国でも6月22日にドイツから帰国した韓国人の発症が初めてみられアジアでの警戒が強められています。

 

日本ではこれまでに報告はないものの、2003年のアメリカでのアウトブレイクの際にテキサス州からアフリカヤマネが日本へ輸入されましたが、これらは全頭が死亡もしくはサル痘ウイルス検査陰性が確認され、国内での発生には繋がりませんでした。

感染経路は動物からヒト、ヒトからヒト

感染動物に咬まれること、あるいは感染動物の血液・体液・皮膚病変(発疹部位)との接触が感染原因といわれています。ペットとしてや野生動物、食用としてサル痘に感染した動物と接触する可能性があります。

 

また本来サル痘はヒトからヒトへの感染は稀ですが、濃厚接触者やリネン類を介した医療従事者の感染の報告があり飛沫感染や接触感染が考えられています。

 

WHOは最大で6〜9人の二次感染を起こす場合もあり、これはサル痘にも有効な天然痘ワクチン接種率が低下したことが関連しているとしています。他にも母親から胎盤を介した胎児感染や、授乳による感染が危惧されています。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。