教育現場で問題視されている、学級崩壊。その引き金となっている、子どもたちによる暴力などの問題行動。加害者となる子どもには発達障害を抱える子が多いと言われています。見ていきましょう。
10人に1人がADHD…増え続ける「発達障害児」、教育現場からは「勘弁して」の声も (写真はイメージです/PIXTA)

小学校のクラスに2人はいる…発達障害の子どもたち

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発達障害は発達障害者支援法で「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害」「学習障害」「注意欠陥多動性障害」「言語の障害」「協調運動の障害」「心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害」と規定されています。

 

文部科学省の調査では、通常学級に在籍する児童生徒の6.5%に、高機能自閉症(High-Functioning Autism) 、学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)といった行動傾向にあるとしました。さらに小学1年生は9.8%で、10人1人とされています。

 

ただしこれはあくまでも、発達障害について知識のある教職員などによるデータであり、医師の診断を受けた割合ではないことを知っておく必要があるでしょう。

 

一方、アメリカ政府の統計では、11%の子どもがADHDと診断されていると発表され、男子が13.2% 女子が5.6%と、男子の割合が女子に比べて多いしています。一方で、別の統計ではほぼ同数という統計もあり、正確な数値を把握するのは難しいことがわかります。

 

このように、近年、学級崩壊と同時期に発達障害もクローズアップされ、その因果関係が言われるようになっているのです。

 

そもそも発達障害という言葉が広まったのは、発達障害者支援法が制定された2004年あたりから。同法で、発達障害は「社会の問題」であり、早期発見と切れ目のない支援を行うと明記されたのです。

 

発達障害児への支援のひとつである障害児通所支援は児童福祉法に基づくもので、主に施設などへの通所によって、日常生活における基本的な動作の指導、生活能力の向上のために必要な訓練などを行うサービスです。利用する子どもは5年で約2.3倍。特に児童発達支援、放課後等デイサービスの占める 割合が大きくなっています。

 

また小・中学校では特別支援学級*1や通級*2による指導において、特別の教育課程、少人数の学級編制、専門的な知識・経験のある教職員による指導など、さまざまな支援が行われています。

 

*1:障害のある子どものために小・中学校に障害の種別ごとに置かれる少人数の学級。公立校では8人を標準とする

*2:小・中学校の通常の学級に在籍する障害のある児童生徒に対して、ほとんどの授業を通常の学級で行いながら、週に1単位時間~8単位時間程度、障害に基づく種々の困難の改善・克服に必要な特別の指導を特別の場で行う教育形態

 

年々、手厚くなっていく発達障害の子どもへのサポート。それに伴い、問題視される小1プロブレムについても、その多くが解決すると期待されています。ただ現状、支援が足りているかといえば不十分。さらなる充実が求められています。

 

そのようななか、文部科学省の有識者会議では、「すべての教師に特別支援教育に関する専門性、主体的に問題を解決していくことができる資質や能力が求められる」としています。

 

ただでさえ教師不足、それによる負担増で疲弊する教育現場ですが、そこにきて新たに教師に求められるものが増えようとしているのです。発達障害の子どもたちへの支援の充実も大きな課題ではありますが、他の問題が解決されないなかでの負担増に、教育現場からは「勘弁してくれ」という声も。教員の負担減と、発達障害の子どもたちへのより良い支援、双方、両立したカタチでの実現が望まれています。