教育現場で問題視されている、学級崩壊。その引き金となっている、子どもたちによる暴力などの問題行動。加害者となる子どもには発達障害を抱える子が多いと言われています。見ていきましょう。
10人に1人がADHD…増え続ける「発達障害児」、教育現場からは「勘弁して」の声も (写真はイメージです/PIXTA)

増える小学校での問題行動…学級崩壊の引き金に

 

文部科学省『令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』によると、小・中・高等学校における暴力行為の発生件数は6万6,201件。前年から16.0%の減少となりました。また小学校での暴力行為は近年大幅に増加しているといわれていましたが、ここでも減少となりました。ただこれは新型コロナウイルス感染症の影響により、学校と児童との間に物理的な距離が生じたためと考えられます。

 

なかには暴力行為が発端となり、学級崩壊に至るケースも。学級崩壊と呼ばれる状態は昔からありましたが、その言葉が広く知られるようになったのは1990年代後半。新聞やテレビで使われるようになってからです。どのような状態が学級崩壊なのか、明確な定義はありませんが、国立教育政策研究所の学級経営研究会によると、「学級がうまく機能しない状況」として、以下のように定義しています。

 

子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に至っている場合

 

具体的には「児童生徒が授業を受けない」「授業中の私語が多く教職員の指示に従わない」「授業中に立ち歩いたり教室からいなくなる」といった状況だと言及しています。

 

また2016年の神奈川県の調査では、県内小学校のおよそ1.4%、199の学級で学級崩壊が発生しているとされました。

 

このような学級崩壊、近年の傾向として低学年化があげられます。そして「小1プレブレム」という、小学校に入学したばかりの小学校1年生が集団行動が取れない、授業中に座っていられない、話を聞かないなどの状態が数か月継続する状態のことを指す言葉も生まれています。小1プロブレムは1ヵ月程度で落ち着くとされていますが、そのまま継続するケースが増えているとされているのです。

 

なぜ学級崩壊が増えているのか……その原因のひとつとされているのが、発達障害の子どもの増加です。