本記事では、ニッセイ基礎研究所の熊紫云氏が、老後のための資産形成のために何に投資すると良いのか、考察していきます。
老後のための資産形成-確定拠出年金等で老後のために何に投資したら良いのか?外国株式型、国内株式型、バランス型、外国債券型と国内債券型でのパフォーマンス比較 (写真はイメージです/PIXTA)

(1) 日本バブル崩壊直前からITバブル崩壊直前まで

1980年代後半、日本はバブル景気に沸いており、株価についても上昇を続け1989年末にTOPIXと日経平均株価は史上最高値をつけた。1990年に入ってもバブルの状況はしばらく続いていたが、いわゆるバブルがはじけてバブル不況に陥った。特に景気の不調を先取りする株価はいち早く反応し、1990年8月にイラクのクウェート侵攻(湾岸戦争の始まり)で世界的な範囲で株価暴落が発生した(図表2:網掛け部分)。それ以降、日本株式は長期間に亘り伸び悩んだが、1995年以降、米国、先進国、新興国と世界株式インデックスは総じて上昇した。

 

それでは、この期間について、1990年初の値を100として各株式インデックスの推移を見てみよう。

 

この期間、2000年2月末までで上昇幅が一番大きかったのはナスダック100で、最低値が69.7と一時的に3割程度下落したものの、最終値は1,460.2にまで上昇し、14倍以上と異常なまでの値上がりとなった。次に上昇幅が大きかったのはS&P500とダウ平均株価、MSCIコクサイで、最低値が80台と一時的に2割ほど下落したものの、最終値が300台と3倍以上になった。MSCI WorldとMSCIエマージング・マーケッツ(EM)、MSCI ACWI も一時的に下落したが、最終値は200台と2倍以上に上昇した。

 

TOPIXと日経平均株価は最低値が40を切るなど6割以上も下落し、最終値もTOPIXが64.7、日経平均株価が55.4と低迷し、2000年2月末まで一度も100に回復することはなかった。

 

[図表2]日本バブル崩壊直前からITバブル崩壊直前までの価格推移

 

(2) ITバブル崩壊直前からリーマン・ショック直前まで

2000年3月に、上記で見たように米国のIT関連企業の株価が大幅に値上がりし、絶頂期を迎えた。しかし、株価高騰の行き過ぎを懸念する投資家が多くなり、PC関連の過剰在庫から生産調整等が行われる中、米国FRBの利上げもあって株価が急落し、IT関連企業の倒産が大幅に増えた。いわゆるITバブル崩壊である。続いて翌年9月の米国同時多発テロ事件、2003年の米国対イラク戦争などを経て、世界が同時に不況に陥った(図表3:網掛け部分)。その後、米国は金融緩和策等を実施し、アフガニスタン紛争による軍事特需等もあって、徐々に景気は回復した。さらに、住宅ブームによる資産価格の上昇などもあり、経済の好調が続いた。アジアでは、中国が高い成長率を遂げた一方、日本は「失われた20年」の低迷期に苦しんだ。

 

それでは、この期間について、2000年2月末の値を100として、2007年10月末までの各インデックスの推移を確認してみよう。ナスダック100と日経平均株価を除いて、株式インデックスは概ね上昇した。

 

この期間に上昇幅が一番大きかったのは、MSCIエマージング・マーケッツ(EM)で、最終値が344.0と3倍以上になった。続いて上昇幅が高かったのはダウ平均株価、MSCI ACWI、MSCIコクサイ、MSCI Worldで最終値は150~160だった。

 

S&P500は最終値が134.6とそれなりの上昇となった一方で、ナスダック100は下落幅が大きく、最低値が21.5と約5分の1にまで値下がりした。大幅に下落したこともあって、ナスダック100は最終値が56.0と、半分程度にまでしか値を戻していなかった。

 

一方、日本株式は低迷が続いた。TOPIXの最終値が102.3とわずかに100まで回復したが、日経平均株価の最終値は90.4と100を下回った。

 

[図表3]ITバブル崩壊直前からリーマン・ショック直前までの価格推移