築30年を超えるマンションが加速度的に増えていく
国土交通省によると、マンションのストック総数は、2021年末時点で約685.9万戸。1世帯当たりの平均人数が2.21人(2020年国勢調査より)ということを考えると、約1,516万人、日本人の約1割がマンション住まい、と推計しています。新規供給数はリーマンショック時に大きく減少したものの、年間10万戸程度、一定の供給数を維持しています。
さらに築年数ごとの戸数をみていくと、1992年以前に建てられた築30年以上のマンションが133.5万戸、1982年以前に建てられた築40年以上のマンションが115万6,000戸、全体の17%程度になっています。それが10年後には2.2倍の249万1,000戸、20年後には3.7倍の425万4,000万戸にもなる見込みです。
【築後30~50年以上の分譲マンション戸数】
■2026年末
築30年以上:161.9万戸 築40年以上:109.3万戸 築50年以上:60.4万戸
■2031年末
築30年以上:176.3万戸 築40年以上:133.5万戸 築50年以上:115.6万戸
■2041年
築30年以上:163.0万戸 築40年以上:176.3万戸 築50年以上:249.1万戸
出所:国土交通省
新築マンションは増え続け、さらに築古マンションも加速度的に増えていきます。そのなかで懸念されているのが、マンションの修繕問題です。
マンションの修繕工事は、12年周期で行うのが目安です。理由のひとつが、国土交通省の『長期修繕計画作成ガイドライン』で「外壁塗装などの建物に関する工事は12年目を目安に行う」とされているからです。
立地や使用条件などにより建物の劣化度合いは異なるので、すべてのマンションで12年ごとに修繕が行われるわけではありませんが、いずれにせよ、10数年ごとに行われる大きな出費に備えて、マンション入居者は修繕積立金を毎月支払っています。その額はマンションの規模などにより変わってきますが、国土交通省『平成30年度マンション総合調査』によると、2018年の修繕積立金の平均月額は1万1,243円となっています。
実際の修繕はマンションの規模や内容にもよりますが、工事開始から完了まで数年かかることがあります。そのような場合、1年ごとに代わる理事会ではなく、修繕委員会を別に設立することも。そこで発注方式等を選定し、総会で承認を受け……と進めていきます。そこが大規模なマンションになればなるほど面倒になり、修繕の必要があるのに進まない、という事態に陥ることがあるのです。